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鍼灸いちご治療院 鍼灸師 八幡太郎 執筆・監修

鍼灸いちご治療院 TEL.03-5876-8989

〒133-0051 東京都江戸川区北小岩6-35-19


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  • 骨盤が痛む仙腸関節性腰痛
骨盤うしろの鋭い痛み

仙腸関節性腰痛 【鍼灸師が執筆・監修】

仙腸関節解剖図仙腸関節性腰痛の症状、原因、治療、構造などについて解説しています。

この腰痛は、ぎっくり腰に一番多く見られる原因でもあり、産後の腰痛や長引く原因不明の腰の痛みの一因でもあります。
この疾患は、CTやMRIなどの画像検査では異常を発見出来ないケースが多く、機能性の【見えない腰痛】の代表的なものです。

この腰痛を治すためのポイントは、仙腸関節の可動性の正常化にあります。仙腸関節ブロック注射で一時的に痛みを抑えることは可能ですが、根本的には関節の機能を正常化する必要があります。

仙腸関節性腰痛を治すために知っておきたいこと

鍼灸いちご治療院 院長・鍼灸師 八幡太郎このサイトは鍼灸いちご治療院が運営しています。

記事については医療系国家資格である鍼灸師の八幡太郎が執筆・編集・監修しています。

 仙腸関節とは?

一般に聞き慣れない【仙腸関節】とは、そもそもどんな関節なのでしょう。
下の図は骨盤を後ろから見た解剖図です。
仙腸関節解剖図背骨を骨盤で受け止める【仙骨】と、一般 に 腰骨とか骨盤と呼ばれる【腸骨】とで成 り立 っている関節です。

関節を包む膜を持ち、滑液という潤滑油の役割をする液体が確認できます。
この関節はわずかに可動性を持っている関節です。肩や膝、肘の関節のように大きく動くことはできず、可動範囲は0.5~2ミリ程のわずかなもので、半関節に分類されます。歩行するときや座る動作の時に可動します。
仙腸関節の靭帯上半身からの荷重を支えるため、靭帯が発達しています。

関節の前面には前仙腸関節靭帯、後面に後仙腸関節靭帯、長後仙腸靭帯、下方から関節を固定する仙結節靭帯、そして関節面を繋ぐ骨間靭帯は人体で最も強い靭帯といわれています。
関節面の形状は個人差が大きく、荷重を支え伝達する役割をもつことから、他の関節に比べ関節面の摩擦係数が大きい特徴があります。

この関節を含む骨盤後面の領域は、第4腰椎~第3仙椎後枝の外側枝という神経の支配領域で、他の腰痛の神経支配領域とその多くが重なるため診断を
難しくします。

また、この関節を能動的に動かすための筋肉がなく、腰に関わる様々な筋肉が収縮することで受動的に動いている関節であるために機能不全を起こすと治りにくい特性があります。
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特徴的な症状

仙腸関節性腰痛の患者さんは疼痛域がはっきりしていて、【指さし検査】を行うと患者さんは何度でも同じ疼痛部位をピンポイントで指示します。まずこれがこの腰痛の特徴の一つです。

特徴的な疼痛域

仙腸関節性腰痛疼痛域仙腸関節性腰痛は、痛みの症状が現れる特徴的な疼痛域があります。

仙腸関節に問題があると、左図の領域に鋭い痛みがあります。
痛む部位を何度でも同じように、人差し指で指し示せるようでしたら、この腰痛である可能性を否定できません。

ただ、これだけで仙腸関節性腰痛と断定できないのが、副次的に生じてくる放散痛というものがあるためです。

放散痛について

放散痛はL5・S1椎間板ヘルニアや、腰部脊柱管狭窄症の馬尾障害や神経根障害、血管性障害、糖尿病性神経障害などと発症領域が似通い、また被るために判断を難しくします。
仙腸関節性腰痛の放散痛領域この疾患では、図のようなエリアに放散痛が見られることがあります。

①の領域に約20%の人に放散痛がみられます
②の領域では約30%
③の領域では約10%
④の領域では約25%

複数のポイントに及ぶ場合もあります
上記であげた太腿後面の領域が腰部椎間板ヘルニアでの症状の好発部位と似通った部位であるために誤った判断をされることがあります。

また、放散痛領域①と共通疼痛域は中心性ヘルニアにみられる疼痛発症部位で、このことも椎間板ヘルニアとの鑑別を難しくします。

慢性的に腰痛をお持ちの方ですと、椎間板ヘルニアとのダブルクラッシュ状態にある方も少なくありません。

そのような場合、椎間板ヘルニアの手術をしても疼痛症状が残り、病院や治療院巡りをすることになってしまう事になりかねません。

痛みの特徴

侵害受容器図腰の痛みの特徴は鋭い刺されるような痛みで、疲労性の腰痛のような重い鈍痛とは明確に違います。

これは、仙腸関節には二十数個の侵害受容器と呼ばれるセンサーが発達しているためです。
そして、ぎっくり腰のような疼痛発作時は座位で痛みが誘発され易くなります。骨盤下面の坐骨が固定されてしまうため、ただでさえ負荷がかかっている関節に更なる負荷を強いるためです。

また、疼痛発作時の患者さんの多くが仰向け寝がつらく、横向き寝が比較的に楽である特徴もあります。
仙腸関節性腰痛では、好発年齢はなく全年齢層に広く起こりうる腰痛です。全腰痛患者のうち、およそ10%がこの腰痛であるといわれています。

ここまでに挙げた症状が当てはまらない場合、他の疾患である可能性があります。
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発症に至るメカニカルな問題

仙腸関節は体の前屈などの動きや、歩行時に可動する関節です。この項目では、日常の中に潜む原因や、仙腸関節の機能的な特徴などを解説します。

日常に潜む原因

骨盤の動き図前屈時には体を前に倒すと、腰椎もそれに合わせ前に倒れていきます。

腰椎に続く仙骨も回転軸を中心に骨盤と反対方向に動き、仙骨下部は起き上がろうとします。
この時、左右両翼の腸骨には相対的に後方に回転しようとする力が働きます。 つまり相反する力が仙腸関節面にかかってきます。

あなたが体を前屈させている時に、後ろを振り向くような腰をひねる動きをすると、ただでさえ負荷がかかっている関節に更なる負荷を強いることになります。

そして許容度を超えると、ぎっくり腰や仙腸関節性腰痛を起こします。

座位との関係

デスクワークで腰痛を起こした男性座位の場合、座面で坐骨を固定しているので、その関節面には強度に負荷がかかっています。

そのため、デスクワークの時間が長い人などはリスクが高くなります。

仙腸関節にまつわる関連情報

  • 見えない腰痛:仙腸関節の機能的特徴を生体力学の視点で、解剖学的構造について詳しく解説しています。
  • 骨盤のゆがみ:仙腸関節を含む骨盤帯全体の構造や機能、生体力学上の骨盤に負担が掛かる理由などを解説しています。
  • 腰痛と椅子:腰痛と座る事との関係、なぜ椅子に座る事が仙腸関節の負担となるのか、どのような事をすれば座ることのリスクを軽減できるのかを解説しています。
  • 仙腸関節のセルフケア:仙腸関節のセルフケア法を紹介しています。紹介する方法で、1ミリたりとも症状が改善しない場合、あなたの腰痛は仙腸関節が原因ではない可能性もあり、他の原因を探る必要もあります。
  • 骨盤の奥の腰痛 / 仙骨前面の痛み:仙腸関節の問題とは質を異にしますが、仙骨前面に問題があるために骨盤の奥深くに痛みが起きることがあります。
仙腸関節の関節面の平滑性は個人差が大きいため、いくらリスクが高い動きや座り方をしても仙腸関節性腰痛にならない人や、ごく僅かな負荷がかかっただけで腰痛を訴える人が存在するという違いが生じます。
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改善するために必要な3つの治療ポイント

仙腸関節性腰痛・ぎっくり腰を治すために必要な3つの治療ポイントがあります。少し長めの説明になりますが、治したい方はもらさず読まれることをお勧めします。治すためには何をすれば良いのか理解できると思います。

仙腸関節ブロック注射で一時的に痛みを抑えることも出来ますが、
発症の原因には仙腸関節の可動性の問題が存在するため、根本的な問題解決には関節の機能を正常化する必要があります。

仙腸関節の可動性を正常化するためには何が必要なのか?この先の項目で解説しています。

治療ポイント1 / 筋肉

腰の筋肉解剖図ぎっくり腰、産後の腰痛、長引く腰痛を治していくには、骨格だけでなく筋肉などの軟部組織にもアプローチする必要があります。

仙腸関節は靭帯群で強固に保護され、更に腰回りの筋肉群が支えています。
腰回りの筋肉群は体格の大きな方では、深いところで8~9センチの厚さになる部位もあります。

仙腸関節が能動的に動かせる関節ではなく、受動的に動く関節である特性をもつために治療には筋肉・靭帯へのアプローチも不可欠です。

かと言って、漫然と電気治療器をかけたりマッサージしているだけでは残念ながら治ることはありません。これらが有効なのは筋肉の浅層に問題が生じた疲労性腰痛のときです。

この腰痛は、体格の良い方で8~9センチ、痩せている方でも5~6センチのにもなる筋肉層の最深部のインナーマッスルにまで治療効果をもたらさなければなりません。

治療ポイント2 / 関節

筋肉には【関節静的反射】というものがあり、関節が本来の可動性を失いあそびがなくなると過緊張をおこします。
仙腸関節性腰痛の放散痛領域この過緊張状態が継続すると筋肉の中には、トリガーポイントと呼ばれる痛覚過敏な部分や硬結・筋張りが生じてきます。

このトリガーポイントや筋肉の硬結・筋張りが【特徴的な症状】のところで触れた放散痛の本態であり、仙腸関節性腰痛の二次的な問題です。
関節静的反射により筋肉が硬く締まってしまうと、仙腸関節の特性である【受動的に動く】という性質が問題になります。

それは、関節が本来あるべき位置からずれた位置にあっても自力で戻ることができず、硬く締まった筋肉が悪い方向に引っ張ったままの状態が維持されてしまうからです。

この反応があるために骨盤を矯正して一時的に良くなっても、硬く硬縮した筋肉が再び元の悪い状態に引き戻してしまうのです。
ロックされている様子ここが治療を難しくしているポイントです。
仙腸関節性腰痛は言わば関節が望ましくない位置でロックしているようなものですから、何かしらの矯正手段で関節を健全に働けるように回復させなければなりません。
しかし、関節の矯正だけでは関節静的反射で筋肉は硬縮したままですから、引き戻されてしまう。

筋肉に治療の主眼を置くと一時的に筋肉は緩みますが、関節には手を付けてないわけですから、当然すぐに痛みが戻ってきます。

つまり、
『仙腸関節の働きを正常化し、インナーマッスルまでを含めた筋肉にも同時にアプローチする必要がある。』ということです。

治療ポイント3 / 靭帯

この関節は人体で最も強いと言われる骨間靭帯を持ち、更に二重三重に沢山の靭帯群で補強されています。
仙腸関節の靭帯関節が本来のあるべき位置に収まっていないと、その関節に関わる靭帯のうち、ある靭帯は病的に伸びてしまい、ある靭帯は病的に縮んでしまうという事が起こってきます。

状態が悪いと癒着すら起きてしまいます。
ぎっくり腰、産後の腰痛、原因不明と思っていた腰の痛み、これら仙腸関節が原因の腰痛は早期に的確な間違いのない治療を開始したのであれば、靭帯の変性まで起こさずに済みますが、治療時機を逸すると靭帯の変性を招き難治性の腰痛に病態が変わりかねません。

私の治療経験上、発症から三日、一週間と時間が経過するほどに当該靭帯が締まってくる感覚を得ます。ぎっくり腰の発症当日に治療をした場合など、治療開始前の激痛が嘘のように軽快します。

靭帯は強固に関節を固定しています。関節にずれが生じたら、ずれたなりに固まってしまいます。そのため、靭帯も治療対象とする必要があるのです。

ポイント③、仙腸関節性腰痛では靭帯も治療対象である。

実際の治療の様子

仙腸関節性腰痛に対する鍼での実際のアプローチの標準的な流れは、以下のようなものになります。
腰仙靭帯、仙結節靭帯に対する治療最初に腰部の多裂筋エリアに、密度高く多数の鍼を打っていきます。

この部位には深部に腰仙靭帯と呼ばれる、腰椎と仙骨を繋ぐ靭帯し、治療のキモになります。腰仙靭帯にかかる負荷を低下する必要があります。
そして、仙骨の動きに関わる靭帯である、仙結節靭帯にしっかりと鍼を効かせます。こちらには60~75ミリの長さの鍼が必要で、仙結節靭帯だけでなく臀部の筋肉群の深部にも効果を及ぼします。
大腿裏面の筋肉群に対する治療次に関連痛領域である大腿裏面の筋肉群(ハムストリングス) が治療対象となります。

この大腿裏面の筋肉群が緊張すると、骨盤の坐骨を介して仙結節靭帯に過緊張をもたらしてしまいます。十分に緩める必要があります。
大腿裏面のハムストリングス、具体的には半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋といった筋肉の緊張が低下すると、仙結節靭帯にかかる負荷を低下することになり、仙骨の動きが正常化しやすくなります。
中臀筋、梨状筋、双子筋に対する治療最後に臀部の中臀筋、梨状筋、上下双子筋といった筋群が対象となります。特に梨状筋は仙骨裏面に付着し、大切な治療ポイントです。
中臀筋、双子筋は大腿骨を介して二次的に骨盤帯に影響を及ぼすため、治療対象となります。
ここまでのアプローチが鍼での標準的な治療になりますが、仙腸関節が機能障害を起こすに至った経緯は千差万別であるため、状況により治療ポイントに違いが生まれます。

SOTブロックによる追加的アプローチ

仙腸関節障害は、言ってみれば骨盤帯に捻じれる負荷が継続的にかかった状態です。上記までの鍼治療によって、多くの場合には仙腸関節の動きは正常化しますが、捻じれの負荷があまりに大きくかかっている場合には、鍼のみでは効果が薄い場合があります。

そのような仙腸関節面のロックの状態が強固な場合には、鍼治療の追加的アプローチとして、SOTブロックと呼ばれる特殊な治療器具を使います。
SOTブロックこれがSOTブロックと呼ばれる治療器具になります。SOTとはカイロプラクティックの一流派による治療テクニックで、拗れた仙腸関節障害にはSOTブロックを使用するとロックされた状態を解除しやすくなります。
原理は単純なものですが、仙腸関節の特徴を捉えた実に理に適った治療法です。大きく分けて3つの使用法に分かれます。ここではカテゴリー3と呼ばれる使用法を紹介します。
SOTブロック・カテゴリー2うつぶせの状態で骨盤の捻じれの方向を考慮し、上前腸骨棘と呼ばれる部位と、大腿骨大転子と呼ばれる部位に左右の互い違いに骨盤の下にブロックを挿入します。挿入にはいくつかのルールがあり、単純なようですが正確性を要します。
治療原理は、骨盤帯の捻じれの方向と逆方向の負荷を患者さんの自重を利用し、適切な方向へ誘導することにあります。殆どの場合には鍼治療のみで仙腸関節の動きを正常化できますが、こじれた状態に対しては場合によってSOTブロックが必要になります。
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患者さんの改善状況と手記

この項目では、実際の患者さんの現在に至るまでの経緯や、治療による改善状況などを、患者さんご自身の手記も交え紹介します。

実際の症例1

高田美代子さん高田 美代子さん (53歳)
千葉県・市川市

主訴
骨盤後方・右側の腰の痛み

現在に至るまでの経過

高田さんは、産後20年以上に渡って、腰に痛みを抱えてこられていました。現在に至るまで、整骨院やカイロプラクティック、整体などを数多く受けてこられていますが、痛みの症状は殆ど改善しなかったそうです。

数年前に腰痛の原因が仙腸関節であると判明してからは、都内有名クリニックでAKA博田法を数十回受けてこられていますが、そちらでも大きな改善はみられていません。
高田美代子さんの仙腸関節MRI画像仙腸関節の機能障害では、MRIなどの画像検査では異常を発見できないケースも多く、画像上の問題の有無だけで判断することは難しい面があり、徒手検査を行うのが必須です。
高田さんのケースは、画像上でも問題を発見できたケースでした。右仙腸関節の上後腸骨棘にT1低輝度、T2高輝度信号が確認できました。これは当該部位の炎症を推測する1つの目安になります。

また、問診やワンフィンガーテスト、徒手的な疼痛誘発テスト、可動性検査からも、右側・仙腸関節の機能障害を推定できました。

AKA博田法について

仙腸関節性腰痛においては、AKA博田法や仙腸関節ブロック注射を治療として受ける方が多くみられますが、機能障害が重度の場合、これらの手段では症状が軽減しにくいのが現実です。

高田さんのケースのように、AKA博田法を多数回受けても症状が軽減しない場合、関節周囲の筋肉・靭帯といった軟部組織に癒着が存在し、関節の遊びが殆どないために、過度に摩擦力が働き痛みが起きていることも考えられます。

仙腸関節は肩関節や膝関節と違い、能動的に動かすことが出来ない関節で、臀部や腰部の筋肉の動きに合わせて受動的に動く関節です。

AKA博田法は、関節面の滑り法と離開法で構成されるソフトな手技療法ですが、前述したように当該関節が周囲の軟部組織に依存した受動的に動く関節であるため、関節周囲の筋肉や靭帯に癒着があったり、強い硬縮が存在する場合、徒手的な手技療法では症状の軽減効果が軽微なものとなります。

治療の方向性と改善状況

高田さんの治療では、病院でのエコー画像診断で関節周囲の軟部組織に癒着を指摘されているため、初回から鍼を80本以上使ったキツめの治療となりました。

筋肉に癒着が生じていると、通常の凝っている硬い筋肉に鍼を刺すのと違い、厚手のポリエチレンの袋を貫くような独特の感覚を指先に感じます。

強刺激での治療となりましたが、私のもとにお出でになる前の痛みの数値を10とした場合、4~5回ほどの治療で3~4程度の痛みにまで低下しました。

高田さんのケースでは軟部組織の癒着の問題が根底にあるため、数回の治療で痛みを0にする事を望まれるのは現実的ではありませんが、今後も継続的に治療していけば、日常生活で痛みを感じる場面ほぼ無くなってくると考えています。

患者さんの手記

以下は高田さんによる手記です。モバイル端末で読みにくい場合には、手記の下に原文そのままで起こしたものを掲載しています。高田美代子さん手記1高田美代子さん手記2高田美代子さん手記3
私は、長年原因不明の腰痛に悩まされてきました。そして近年になり、私の腰痛は仙腸関節が原因とわかりました。

産後しばらくして腰痛が起き始めた20年以上前には整形外科でも、仙腸関節が原因の腰痛があるというのは一般的ではなかったらしく、原因を求めて沢山の整形外科に行きました。

ブロック注射なども受けましたが、一時的には痛みがなくなるのですが、本当に一時しのぎでした。仙腸関節とわかってからは、テレビで取り上げられている病院などでAKA博田法を随分受けたのですが、目に見える効果はありませんでした。

これは数カ月前に病院でエコー診断を受けた時にわかったのですが、私の骨盤まわりは長年仙腸関節に問題があったせいで、筋肉に癒着が起き、そのためAKA博田法で効果が出にくかったようです。

そして途方にくれ、いろいろ調べている時にいちご治療院のことを知りました。腰痛に強そうな先生に思え、直感的にこの先生に相談してみようと連絡しました。

骨盤まわりの筋肉の癒着があったせいでしょうか、初めての治療の時に使った針は80本以上と聞きビックリしました。そして、さすがに80本以上の針を深くまで刺す治療だけあって、とても辛かったです。

本当につらい治療でしたが、5回ほど治療を受けたあたりで症状がずいぶん軽くなりました。

私の場合は骨盤まわりの筋肉の癒着もあるので、治療期間が多少必要なようですが、今までどこでも改善されなかった腰痛が確実に改善してきています。

希望がもてることに、先生には本当に感謝しております。

実際の症例2

橋本尚也さん橋本 尚也さん (31歳)
神奈川県・相模原市

主訴
左・仙腸関節附付近の痛み、腰部痛、臀部痛

現在に至るまでの経過

橋本さんは、2014年4月上旬から仙腸関節付近に痛みが起き始めました。最初の整形外科のリハビリ施設で、電気治療とマッサージによる治療を受けてこられています。症状の改善が全く感じられなかったため、2ヶ月ほどでそちらは中止し、別の整形外科を受診されています。

2軒目の整形外科で仙腸関節障害と診断され、2014年8月~2017年10月までの約3年間、理学療法士によるAKA博田法を2週間に1度の頻度で、計70回受けられています。約3年間に渡り痛みの症状が軽減しなかったため、当院にご連絡を頂戴しました。

AKA博田法が効かなかったケース

橋本さんの疼痛領域橋本さんが症状を感じている疼痛域です。赤色でマークしたところが痛みを強く感じているポイントです。

青色マークは、赤色マークよりも痛みの程度が低いポイントです。
橋本さんは、二重の赤色マークの部位に最も強く痛みを感じています。上後腸骨棘と呼ばれる部位で、仙腸関節障害の患者さんが共通して痛みを訴えやすい部位です。

仙腸関節障害の方は、このポイントの比較的浅い部位に痛みを訴えます。また、仙腸関節障害の方は通常座位を嫌うものです。座位では坐骨が座面に当たることで、仙腸関節に負荷が掛り痛みが増してしまうためです。

ところが橋本さんのケースでは、かなり深い部位の痛みを訴えられていました。これが通常のケースと違う点です。更に、座位を全く苦にせず、長時間座っていても痛みを訴えません。

橋本さんのケースは、仙腸関節の機能障害とは違うのではないかと疑問を持ち、仙腸関節の可動性テスト、関節に負荷をかける疼痛誘発テストを行いました。いずれも陰性で、仙腸関節自体には問題を感じませんでした。これでは確かに、AKA博田法を70回受けても状態は好転しないはずです。

AKA博田法は、徒手的な関節運動学的アプローチ ( arthro kinematic approachi ) です。通常、徒手的な手技によるアプローチ法では、患者さんの状態がその治療法に適応ならば、施術3~5回までには状況は相当程度変化するものです。

橋本さんはAKA博田法を受けても、施術による効果は2時間程度で、『 自宅に帰り着いたころには痛みが完全に戻ってしまう。』という事の繰り返しで現在に至っていました。

治療の方向性と改善状況

徒手的な検査や問診から得られた情報から判断すると、橋本さんのケースは仙腸関節の機能障害とするには無理があります。中臀筋、梨状筋、双子筋といった外旋6筋の機能障害と判断し、治療を開始しました。

治療中の様子治療鍼の内訳です。
5番×2寸 (0.24㎜×60㎜) の鍼を70本

15番×2寸5分 (0.45㎜×75㎜) を8本

15番×3寸 (0.45㎜×90㎜)を6本
鍼を刺していくと、患者さんが訴える臀部の深い部位に手応えを感じます。強刺激での治療となりましたが、初回から大きく変化がみられました。治療前の痛みを10とすると、初回の治療後には6程度にまで低下し、二回目の治療まで症状が低下した状態が継続しました。2回目の治療後から3回目までの期間に、数値にして4程度にまで痛みが軽減した状態が続いています。

今後の見通しですが、治療開始前の痛み10と比較し、3を切る位になったあたりから改善具合は緩やかになっていくと思われますが、治療を継続する事で、さほど回数を重ねないうちに良好な状態に持っていくことが可能であると考えています。

橋本さんのケースは、整形外科で仙腸関節の機能障害と診断されAKA博田法を受けてこられていますが、臀筋の深部の機能障害であり、AKA博田法が無効なケースでした。

患者さんの手記

橋本さんから、発症から現在に至るまでの経過や、鍼治療による改善状況などについて手記を頂戴しました。モバイル端末で読みにくい場合には、手記の次に、原文そのままで書き起こしたものを掲載しています。

橋本さんの手記1橋本さんの手記2橋本さんの手記3
私が腰痛に悩んでから解決に至るまでのプロセスを、書面にまとめていきたいと思います。同じ悩みを持つ患者さんの助けの声になってもらえれば幸いです。

事の発端は2014年4月にあぐらをかきながら机を組み立てている時に、お尻のあたりにピキッという違和感を感じた時でした。
その日の夜から痛み出し、刺すような痛みとジーンと長く続く痛みが生じて、長時間立ち続けることが困難になりました。
(座っている時は痛みがなく、立っていると痛みが増してきます。また、寝起きが一番痛みが強いです。)

そこで最初は近所の整形外科に行き、電気マッサージを受けていましたが、2カ月たっても改善しませんでした。
調べていくうちにAKA博田法(以降AKAと表記)という仙腸関節障害を改善する方法をインターネットを通じて知りました。

AKAを受けると、一時的に痛みがなくなり、これまで左足を動かすとつっかかる感じがありましたが、それがなくなり歩行が楽になります。しかし、数時間経つと状態は元に戻ってしまいます。

このような状態を繰り返しているうちに、AKAを受けた回数は70回を超えました(3年半受診)。その間、痛み止めの薬、湿布、腰痛治療に効くと言われたうつ病の薬などを全て試しましたが、状態は変わりませんでした。薬を使うと一時的に痛みは緩和されますが、根本解決には至りません。

さすがに困った私は、同じ悩みを持つ人がいないかどうかインターネットを探し回りました。そこで知ったのが、この鍼灸いちご治療院さんでした。

先生のブログや腰痛治療に関する記事を読み、実際の患者さんの声を読んでいるうちに、私と同じ状態でかつ針治療により状態が改善した患者さんがいたので、信憑性と先生の腕を信じて受診することを決めました。

実際に受診してみると、先生は話しやすく、状態についてもしっかり確認してくれます。状態を伝えた上で針治療についての説明があり、受けるかどうか聞かれました。私としてはこのままの状態が続くほうがつらいため、迷わず受けることに決めました。
(結果的にこの判断が良かったと思います。)

針治療は受けたことがなく怖かったのですが、受けてみると意外にも我慢できるもので、注射針よりも細い鍼を使うので結構耐えられます。初回に80本以上刺しましたが、痛みはあるにせよ、問題ありませんでした。
(先生が『ここだ。』と言った位置が、私が問題だと思っていた位置とリンクしたので、先生には悪い部分が解っているようでした。)

80本もの針を刺した効果は、その日の夜に現れ始めました。
最初は針で刺した痛み(筋肉痛に近い)が強かったのですが、だんだんその痛みが改善され、左臀部の痛みも同時に緩和されていることに気づきました。その時、私の場合、仙腸関節というよりも根本原因は筋肉の方にあったのだと実感しました。

右側に寄っていた左臀部の筋肉が、座ってみると左側の正しい位置に戻っていることに気づき、又、上がらなかった足が上がるようになりました。又、この効果は一週間後の2回目の受診時まで持続していたので、確実に効果を感じ取れました。

痛みの軽減度合いについて考えてみると、受信前の痛みを10とした時に、1回目の治療で6まで改善し、2回目の治療で4まで改善されたと思います。

悪かった部分は確実に良くなり、残った部分を一つずつ治していっているので治療後が楽しみです。残りの痛みを今後の治療で治していければと思います。

いちご治療院さんに相談して本当に良かったです。今後ともよろしくお願いします。

仙腸関節性腰痛 / まとめ

重要な治療ポイントを整理すると
  • 仙腸関節の働きを正常化する必要がある
  • 関節静的反射が起こったインナーマッスルまで含めた筋肉を治療する
  • 靭帯も治療対象である
  • 関節周囲の軟部組織に癒着が生じている場合には、徒手的な手法では改善しにくい
あなたの症状が仙腸関節性腰痛に当てはまるようでしたら、上記のことを考慮して治療を選択するのが望ましいでしょう。
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鍼灸いちご治療院では完全予約制とさせて頂いております。
御予約の上、お越しください。

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※12月31日、1月1日を除き祝祭日も施術しております。

費用について

◎初見料  2000円
◎施術費  6000円

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  • 追加の費用は一切必要ありません。
  • 施術の費用につきましては現金のみでのお支払いになります。クレジットカードでの決済は出来ません。
※ただし、その方ご自身が特殊な鍼での施術を希望する場合のみ、特殊鍼の実費をご負担ください。こちらから無理にお勧めすることは一切ありませんのでご安心ください。

※施術中の写真で特殊鍼を使っているものもありますが、
原則的にはそれらの特殊鍼を使わず、追加の費用が発生しない形での対応としています
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  • 仙腸関節性腰痛の原因、症状、治療法

参考文献

  • 腰痛診療ガイドライン 〈2012〉
    日本整形外科学会/日本整形外科学会
    日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・腰痛診療ガイドライン策定委員会 監修・編集
  • 仙腸関節の痛み
    仙台社会保険病院 腰痛・仙腸関節センター長 医師・村上栄一 著・監修
    医学書院
  • 非特異的腰痛のプライマリ・ケア
    独立行政法人 国立病院機構 大阪南医療センター院長 米延策雄 監修・編集
    公立学校法人 福島県立医科大学 学長兼理事長 菊北臣一 監修・編集
    三輪書店
  • 非特異的腰痛の運動療法
    理学療法士 荒木秀明 著
    医学書院