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鍼灸いちご治療院 鍼灸師・八幡太郎 執筆・監修

鍼灸いちご治療院 TEL.03-5876-8989

〒133-0051 東京都江戸川区北小岩6-35-19


心理的ストレスと腰痛との関係

腰痛とストレス 【鍼灸師が執筆・監修】

心と体には密接な関係があります。心理的ストレスの蓄積は胃の痛みだけでなく、時には腰痛や肩コリ・首の痛みを引き起こします。

ストレスのイメージ画像あなたがこのページをご覧になっているということは、腰痛に悩み、尚且つストレスフルな状態にあることを御自身が自覚されているからではないでしょうか?

このページの情報が、あなたの腰の痛みやストレスを軽減するお役に立てるようでしたら幸いです。
私達の体には予め痛みを抑制するシステムが備わっています。ところが、心理状態如何によっては、その疼痛抑制システムが作動しにくくなる現象が起こることがあります。

ストレスフルな状態がいかにして腰痛に結び付くのか?それを軽減するにはどうしたら良いのか?ここから先の項目で解説しています。

このページは以下の項目で構成されています。

鍼灸いちご治療院 院長・鍼灸師 八幡太郎このサイトは鍼灸いちご治療院が運営しています。

記事については医療系国家資格である鍼灸師の八幡太郎が執筆・編集・監修しています。

心が身体に及ぼす影響

心理的ストレスそのものが直接的に腰の痛みなどを起こす訳ではありませんが、長期にわたる心理的ストレスの継続は、身体が痛みを感じやすい状態になってしまいます。

反対に、短期的なストレス刺激は痛みを軽減させます。

同じように負担感を感じる出来事であっても、その質と期間によって身体に与える影響に違いがあります。


短期的なストレスが身体に与える影響

ランナーの様子
例えば、心身に対する短期的な高負荷状態が痛みや苦痛を軽減する代表的な例としてランナーズハイが挙げられます。

本来なら走ることが苦しくて辛くなる筈が、それを感じず高揚感さえ感じてしまう現象です。


ランナーズハイ程でなくても、ここ一番という心理的緊張を強いられる場面で、身体に生じていた痛みを忘れてしまっていた…、そのような経験が誰しもあるのではないでしょうか。

このような心身にかかる短期的な高負荷の刺激によって痛みが緩和する現象を【ストレス鎮痛】と呼びます。

【ストレス鎮痛】に関わるのが脳の深い部分に存在する視床下部と下垂体です。心身が苦痛を感じる高負荷の刺激を受けると、視床下部は下垂体にそれに対処する指令を送ります。

指令を受けた下垂体は副腎皮質ホルモンの分泌を促したり、一般に脳内麻薬とも呼ばれるβエンドルフィンを分泌します。また、交感神経活動が活発になる事で、ノルアドレナリンなどが分泌させます。これらの物質は強い鎮痛作用がある物質です。

このような視床下部や下垂体一連の働きによって、緊張感を強いられるスポーツの試合中などの場面で全く痛みを感じなかった…、という現象が起きることになります。

短期的なストレス刺激は痛みを忘れさせる効用がありますが、反対に長期間に及ぶ心理的負荷の継続は痛みを感じやすくさせてしまうことがあります。



長期間のストレスによって、痛みを感じやすくなる理由

脳の画像
長期間心理的な高負荷状態にあると、我々の体は痛みを感じやすくなってしまいます。

このことに大きく関わるのが、脳内の神経伝達物質であるセロトニンです。



セロトニンは中枢での神経伝達を活発にし、活力を生み出す物質であると同時に、脳や脊髄に作用し痛みを抑制する鎮痛物質として働きます。

長期間の心理的重圧は抑鬱状態を招きます。抑鬱状態にある人の脳内ではセロトニン分泌が顕著に減少し、活力も低下します。その結果として、心だけでなく身体的にも痛みを感じやすい状態に陥ります。

このように痛みと心理状態には密接な関係があるため、病院では長引く痛みに対し、選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)などの抗うつ薬を処方することがあります。これは脳内のセロトニン濃度を低下させないことで、痛みを感じにくい状態にするためです。



食材とストレスの関係

食事の写真
脳内のセロトニン濃度を低下させないためには、日常の食事にも気を配る必要があります。

食材の選択によってセロトニンを増やし、痛みをコントロールすることが可能になります。


セロトニンはトリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸から体内で生合成されますが、セロトニンの原料となるトリプトファンは体内で合成されることはなく、食べ物で摂取するしかありません。

トリプトファンはマグロやカツオなどの赤身魚や、スジコやタラコなどの魚卵に豊富に含まれています。他、蕎麦、豆乳、チーズにも含まれています。

腰痛などの痛みがある時は気分が優れないだけでなく、眠りも浅くなりがちです。この現象にもセロトニンが関係しています。

睡眠には脳内のメラトニンと呼ばれる物質を必要としますが、このメラトニンの原料がセロトニンなのです。つまり、脳内のセロトニン濃度の低下はメラトニンの不足に繋がり、結果的に睡眠も浅くなってしまいます。

このように痛み、抑うつ、睡眠には直接的にも間接的にもセロトニンが大きく関わっているため、セロトニンの原料となるトリプトファンを多く含む食品を積極的に食事に取り入れる必要があります。

腰痛に効く食べ物のページで、腰の痛みを改善させやすくする食品の情報を解説しています。


心理的負荷は身体に変化をもたらし、その質と期間によって体の痛みを感じやすくなったり、反対に痛みを感じにくくなったりする現象を起こします。


痛みのページで痛みそのものが起こる身体的メカニズムを、その子ページの心と痛みの関係のページでは、抑鬱状態がもたらす痛みのメカニズムの解説や、その判別法の解説しています。


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痛みがストレスに転化すると


この項目では、心が身体に与える影響の反対の現象、腰痛などの体の痛みが心身にとってストレスとなる事で起きる現象について解説します。

痛みが長く続くと、痛みそのものがストレスに転化してしまい、身体に変化を起こすことがあります。
戦闘状態のイメージ
痛みは身体にとっては危機的状況を示す信号です。

その信号を受け取った脳は交感神経を緊張させることで、身体を戦闘状態にして対応しようとします。

継続する痛みは、持続的な交感神経緊張状態を招きます。一時的な緊張状態であるならば、その期間だけ痛みを軽減する良い反応となりますが、それが長期間に及んだ場合には弊害となる事があります。

交感神経が緊張した状態では、アドレナリンやノルアドレナリン、副腎皮質ホルモンの分泌が盛んになりますが、これらは鎮痛に作用するだけでなく、身体に対し様々な影響を及ぼす物質です。

アドレナリンやノルアドレナリンの影響
  • 血圧を上昇させる
  • 血糖値を上昇させる
  • 免疫力が低下する
  • 身体が覚醒状態になる

副腎皮質ホルモンの影響
  • 血糖値を上昇させる
  • 免疫力の低下
  • 胃粘液の分泌低下
  • 胃酸の分泌亢進

高血圧症の写真長期間に及ぶ痛みの継続はそれ自体がストレスとなってしまい、高血圧症、糖尿病などの生活習慣病を悪化させる要素ともなってしまいます。

そして、胃酸の分泌亢進が起こるため、胃がキリキリ痛むなどの症状となって現れます。

また、身体が覚醒状態となるため眠りも浅くなり、そのことによるイライラなどの心理的負担の増加で更なる悪循環を招きます。


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心因性疼痛 / 概ねの判断基準


身体に明らかな損傷や炎症、構造的な問題が存在しないのに腰の痛みなどが起きることがあります。そのような場合、心が原因となっている心因性疼痛である可能性を否定できません。


心因性疼痛に疑問符がつく場合

心因性疼痛は…
「どのような角度から診察しても、体には問題が見当たらないにも関わらず明らかに痛みが存在し、その痛みの原因は心理的なものである、とするしか説明不可能な痛み。」を指します。

病院での診察で、画像検査や血液検査まで受けたにも関わらず、その腰痛の原因が分からない…ということは少なくありません。だからと言って、心因性疼痛による腰痛であるとは言えません。

MRI画像診断装置
高度先進医療機器であるMRIをもってしても、腰痛の原因を見つけられない現実が度々あり、腰の痛みの85%は原因不明の腰痛とされてしまいます。




つまり、腰痛は画像検査などで原因が発見できるのは僅か15%に過ぎず、殆どの腰の痛みは病院で原因を特定することが困難というのが現実です。

そのようなことになってしまうのは、腰の痛みの原因が筋肉や筋膜、靭帯など軟部組織の機能不全に起因しているためです。機能的な問題は、当然ですが画像上では捉えきれません。

もしあなたが、いくつもの病院を渡り歩いても腰の痛みの原因がつかめてないのなら、1番に疑うべきはストレスではなく軟部組織の機能不全です。

「ある特定の動き、特定の方向に動かしたときに痛みが起こる。」というような場合には、姿勢や筋力不足に起因した軟部組織の機能不全であることが多いものです。

ところが、ここで問題を複雑にするのが心と体は一体不可分であることです。心理的ストレスの長期化は必ずと言っていいほど身体に影響を与えます。

最も顕著に表れるのが筋肉で、ストレスの継続によって自律神経系に乱れが起き、筋肉は循環不全で硬くなる現象を起こします。

今、あなたの腰に起こっている痛みは、病院で原因が分からなかったからと言って、心のみが原因の心因性疼痛であるとは限りません。

不良姿勢や同一姿勢の継続で筋肉疲労が起き、その状態をストレスが修飾しているだけ…なのかもしれません。



心因性疼痛の概要

心のイメージ図
では、心因性疼痛とはどのような状態を指すのでしょうか?
『痛みの原因が心理的なものでしか説明できないもの。』であり、『身体的な問題が先にあり、後に心理的な影響が現れたもの。』は除外されます。

つまり、痛みを抱えている人が心理的ストレス下にあるか否かだけでは心因性疼痛とは判断できません。

心因性疼痛は身体表現性障害の1類型であると考えて良いかと思います。
DSM−IV(アメリカ精神医学会が定めた分類)では、身体表現性障害は下記の5つに分類されています。

  • 身体化障害
  • 転換性障害
  • 心気症
  • 身体醜形障害
  • 疼痛性障害

心が原因となっている疼痛性障害では、「症状のうち痛みの訴えが中心であり、その痛みを説明する身体的問題がなく、心理社会的な問題が症状の発現に関与している。」とされています。

発症確率は1%未満で、男性よりも女性に多くみられます。遺伝的要因も示唆されています。また、長期に渡る親の介護や、長時間労働などのストレスを不満として言語化することが苦手で、真面目に取り組んでしまうタイプが多くみられるようです。

通常の鎮痛薬で完治してしまう場合もあるようですが、疼痛性障害に対し鎮痛薬が有効に作用しているわけではなく、鎮痛薬を服用することで心理的満足感が得られるためであると考えられています。



このようなサインは要注意

仕事上、家庭内の人間関係上のストレス。経済的問題を背景にした心理的ストレス。労災・交通事故で補償問題が絡んでいる場合。これらのことが発症の引き金になる事があります。

腰の痛みの症状に併せ以下のような心理的な症状がみられたら、身体的なアプローチだけでなく心療内科や精神科、カウンセリングなども受ける必要があります。

  • 何に対しても喜びや興味を感じなくなった。
  • とても焦った気分になり、イライラする。
  • 物事に対しやる気が起きない状態がほとんど毎日続く。
  • 思考力や集中力が継続せず、仕事や勉強の能率が上がらない。
  • 死にたくなったり、自殺したいと考えることがある。
  • 眠れない、寝つきが悪い、睡眠途中で目が覚めるなどの睡眠障害がある。
  • 食欲が極端に低下している。または食欲が極端に亢進している。

腰の痛みの症状に併せ以上のような随伴症状がみられたら、腰への身体的アプローチだけでなく心理的アプローチが必要になります。


疼痛性障害に代表される心因性疼痛の治療は、バイオフィードバック療法、自律訓練法、認知行動療法といった疼痛コントロール法を身につける訓練や、抗うつ薬の服用が主なものになっています。

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心をコントロールして痛みを抑制する


痛みは心の動きに大きく左右されます。そのため、あなたの腰痛が心理的ストレスに起因しているならば、心に生じているイライラや不安感をコントロールすることで、身体に生じている痛みも制御可能という事になります。

この項目では、心と体をシンクロさせてコントロールする方法を幾つか紹介します。


バイオフィードバック療法

バイオフィードバックのイメージ図
バイオフィードバック法では身体の不随意的な血圧、心拍数、筋収縮、皮膚温などを計測します。

それらの客観的なデータを画像、音、図形などで患者さんにフィードバックする方法です。


日常で意識していない身体の不随意的な活動を見る、聞くという方法で確認することで、自分自身の心と身体の状態を照らし合わせることができます。

フィードバックされた情報を元に、自分がどのような心理状態でそれらの身体情報が適正化するのかを、繰り返し訓練することで身につけていきます。

心の動きを視覚や聴覚の情報に置き換えることで、リラックスすることを意図的に行えるようにし、痛みをコントロールする手法です。



自律訓練法

精神医学者J.H.シュルツ氏によって開発された手法です。自分自身の体のありようを静かに観察する自律神経調整法です。

イライラや不安感などの心理的ストレス下にあると、自律神経の交感神経が緊張し痛みを感じやすくなります。反対にリラックスした状態では副交感神経が優位になり、痛みを感じにくい状態になります。

この現象を呼吸法や身体観察法で、自らの意思で自律神経の活動をコントロールする手法です。

ヨガをしている女性いくつかのステップで構成され、手足の重量感を感じる、手足の温度を感じる、心拍を感じる、呼吸を感じる、腹部の温度を感じる、頭部の清涼感を感じるなどの段階を経て、心身ともにリラックスする方法を身につけます。



ある意味では、古来からある座禅やヨガに近いのかもしれません。



認知行動療法

心を観察している様子
通常人間は自分の置かれた状況を、自らの主観によって判断しています。

ニュートラルな心理状態では、主観と客観に大きな隔たりは大きなものではありません。

ところが、心理的負担が増しストレスが大きなものになると、主観の元になる認知に歪みが起きます。

例えば、「相手の言葉には悪意は全くないのに、自分にはとても意地悪な言葉には感じてしまう。」などがこれにあたります。


認知行動療法では、その人の主観や認知と現実との食い違いや隔たりを検証し、思考のバランスとることで心を解放する方法です。

痛みは単純な電気信号ではなく、自分自身の過去の体験と結びつき、【情動】として認知されています。

例えば、過去の痛みや苦しみと結び付く経験が記憶にあると、認知のされ方次第では、「その体験が想起される思考状態になると、現実に痛みを感じてしまう。」このようなことが起きることがあります。

そのような痛みと認知の歪みを修正し、心理的に痛みをコントロールするのが認知行動療法です。


体の痛みと心を関連付けたコントロール法は数多く存在しますが、代表的な手法を取り上げてみました。どの手法が最も優れているとは言えず、時間的、経済的にご自身に取り入れやすい方法をとれば良いかと思います。



腰痛とストレス・まとめ
腰痛とストレスについて5つの項目を設け解説しました。心と体は密接に関係し、心理状態如何では痛みが強くなる現象も起きることがあります。

あなたの腰の痛みの原因が病院の画像検査で発見されず、「気のせいです。」、「ストレスが原因です。」と言われたからといって、必ずしも心理的ストレスが原因ではないことはご理解頂けたのではないでしょうか?

1%以下の発症率とはいえ、体には全く問題の存在しない心因性疼痛というものが存在するのも事実ですが、病院で原因が発見できなかった腰痛の殆どは筋肉、筋膜、靭帯などの軟部組織の機能不全です。

必要なようでしたらご相談ください。

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