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鍼灸いちご治療院 鍼灸師・八幡太郎 執筆監修

鍼灸いちご治療院 TEL.03-5876-8989

〒133-0051 東京都江戸川区北小岩6-35-19


低周波治療器の裏技

低周波治療器が腰痛に効かない理由【鍼灸師が監修】

低周波治療器が効く疾患のチェックリストインパクトのあるタイトルを付けましたが、低周波治療器が腰痛に全く無力であるわけではありません。使い方次第です。

その使い方次第では効果を発揮できたり、症状の軽減には殆ど寄与しないというような違いが起こります。
電気的物理療法機器には、低周波の物だけでなく、中周波、高周波、マイクロカレント波といった様々な種類のものが存在します。

これらの中にあって、低周波治療器が肩こりにはよく効いても腰の痛みに効きにくいのは、治療器がもつ電気エネルギーの特性と、それを受ける身体側の問題が存在します。

このページでは以下の項目で、低周波治療器が腰の痛みに効きにくい理由や、症状を緩和させるための裏技的な治療器の使い方を解説しています。
鍼灸いちご治療院 院長・鍼灸師 八幡太郎このサイトは鍼灸いちご治療院が運営しています。

記事については医療系国家資格である鍼灸師の八幡太郎が執筆・編集・監修しています。

5つの治療機器の電気的な特性

低周波治療器物理的な刺激を加える治療機器は幅が広く、マッサージ器、超音波治療器、極超短波治療器等、多くの機器類が存在します。

そのうち腰痛対策用として、身近で安価な機器も存在するのが電気治療器です。
電気治療器で一般に広く普及する原型となった低周波治療器は、大阪大学医学部の五百住 明 氏の研究によって昭和24年に日本で開発されました。

そして今日では電気治療器だけでも、一般的に馴染みがある低周波治療器の他に、中周波、高周波、干渉波、マイクロカレント波というように様々な治療器が存在します。

電気治療機器は主に日本で普及し、欧米諸国では物理療法機器のうち超音波治療器が主流で、電気治療器は一般的ではありません。これは日本人が【もまれる】という物理刺激を好み、それに近い刺激である電気治療器を好む国民性であるためと推測されます。

この項目では、現在日本で主に使われている各種電気治療器の特性について解説します。

プリューゲル・アルントシュルツの法則

アルントシュルツの法則とは、物理的に外力を加えた時の筋肉や神経の反応性の法則で、具体的には以下のようになります。
  • 弱い刺激では神経機能を喚起し目覚めさせる
  • 中程度の刺激で神経機能を興奮・亢進させる
  • 強い刺激は神経機能を抑制する
  • 最も強い刺激では生体機能が停止する
電機的な刺激であってもこの法則が当てはまります。単純に腰の痛みといっても原因は様々で、その状態に合わせた機器類を使用することが症状軽減には近道となります。

微弱電流治療器

マイクロカレント波と呼ばれる微弱な電流を使用した治療器です。ごく弱い電流を流すため、生体には刺激感は殆どありません。

アルントシュルツの法則では【弱い刺激では神経機能を喚起し目覚めさせる】に当てはまり、細胞を正常・活性化する目的で使用されます。

腰などに微弱電流を流すと、細胞中のミトコンドリアで合成されるATPと呼ばれる物質が増加し、タンパク質の合成が促進され、損傷された組織の修復が早まります。

高電圧治療器

瞬間的な高い電圧を連続的に流すことで、皮膚の刺激を最小限に抑え、電気エネルギーを深部にまで到達させます。

アルントシュルツの法則では【強い刺激は神経機能を抑制する】に相当し、痛みの軽減や治癒促進に利用されています。

深部への刺激に適していて、血流促進と可動域改善に適しています。市販されている機種の多くは、最大出力300V 前後の電圧を患部にかけますが、電流が小さいため健常者では危険はありません。

高周波治療器

10,000~27,000Hzの周波数の電気を、腰などの対象とする部位に流します。高い周波数であるために電気刺激が深部にまで到達します。

アルントシュルツの法則では【強い刺激は神経機能を抑制する】に当たります。深部の筋肉までを収縮させることが可能であるため、筋ポンプ作用での疼痛緩和に効果的です。

電気刺激が深部にまで到達する特性から、疼痛緩和だけでなく麻痺筋の廃用萎縮の予防にも利用されます。

中周波治療器

高周波と低周波の中間域の1,000~10,000Hz までの周波数帯の電気を利用した機器です。

アルントシュルツの法則では【中程度の刺激で神経機能を興奮・亢進させる】に当たります。中周波はその電気的特性から、筋肉刺激に利用されます。筋組織を活性化させます。

また、中周波の電流を生体に流すと、神経細胞の伝導性が低下するウエデンスキー効果と呼ばれる現象が起き、痛みの伝達と知覚に対して阻止効果があります。

低周波治療器

0~1,000Hz までの周波数帯の電流を患部に流します。低周波治療器は安価であることが最大のメリットです。

アルントシュルツの法則では【中程度の刺激で神経機能を興奮・亢進させる】に当たります。筋肉を動かすことで血行促進と鎮痛作用を期待して使用されます。

安価であるため一般的によく使用されますが、低周波領域の電流は身体に流れにくく、期待した効果が得られにくいのがデメリットです。その理由については次の項目【なぜ 腰には効きにくいのか?】で解説します。

電気治療器の使用上の注意と禁忌

電気治療器の使用にあたっては、下記の事に十分注意してください。

使用上の注意

  • 電気が流れている間は電極をはがさないでください。
  • 緊急の場合を除き、通電中に急に電源を落とさないでください。
  • 傷口には電気を流さないでください。
  • 電極パッドと皮膚面を完全に接触させてください。
  • 劣化した電極は使用しないでください。
  • 熱感を強く感じる場合には使用を中止してください。
下記の場合には電気治療器は絶対に使用できません。

禁忌

  • ペースメーカーを使用していたり、心臓疾患がある人は使用できません。
  • 静脈血栓症や血栓性静脈炎の方は、臓器の梗塞が起こる恐れがあるので使用できません。
5つの機器類の生体に与える電気的な特性を解説しました。ここまでに挙げた中では低周波治療器と微弱電流治療器が比較的安価で、家庭でも使用可能かと思います。

低周波治療器は3,000円程度から購入可能ですし、微弱電流治療器で満足できる性能の物で数万円ほどです。腰痛の症状を低下させるのに効果的な高周波、中周波、高電圧の電気治療器になると業務用となり、価格も50万円~300万円となります。

といって落胆しないでください。安価な低周波治療器でも、その性能をフルに引き出す裏技を後ほど紹介します。

物理療法機器では効果を期待するには、その原因に合わせた機器を使用するのが望ましいです。使用にあたっては自己判断せず、医師などへ相談してください。

なぜ 腰には効きにくいのか?

腰痛の男性なぜ同じ電気治療器であっても、低周波の機器は肩こりには効いても、腰痛には効きにくいのか?

それは、電気の周波数帯の問題と、それを受ける身体側の問題。2つの要因があります。
低周波治療器はJIS規格によって1,000Hz以下と定められています。この周波数帯の機器は安価ではあるのですが、筋肉層の厚い部位には効果が及びにくいというデメリットがあります。

また、業務用の機器ならば実効値の最大電流が50~75mA の機器類が多くみられますが、家庭用の機器では安全上への配慮から一般的に20mA以下に抑えられています。

深部に影響を及ぼしにくい周波数帯である上に、電気エネルギー量まで低く抑えられているため肩こりには効いても、腰痛には効きにくい特徴があります。

理由1 / 皮膚の電気抵抗

皮膚の解剖図我々の皮膚は、外部からの有害なものから内部環境を守るためにバリア機能、抵抗性を持っています。

電気に対する抵抗性もその1つで、平均で3000~5000Ωもの電気に対する抵抗性を持っています。
この電気に対する高い抵抗性が足かせとなり、1000Hz 以下の周波数帯の低周波治療器の電気エネルギーは、皮膚下3~5mm程度でエネルギーの80%ほどが拡散してしまい、残りのわずかな電気エネルギーが皮下1cm程に届きます。

つまり問題となっている部位には殆ど電気エネルギーが届かないのです。
スパイク電極そのため、業務用の機器ではこのようなスパイク電極と呼ばれるものを皮膚に接触させ、皮膚の高い電気抵抗性を突破する対策が取られています。
それですら1000Hz以下の周波数帯では、皮下2~3cm程にしか届きません。
粘着パッド家庭用の機器では、このような粘着パッドを使用しているものが主流で、皮膚の電気抵抗を突破しにくく、効果は限定的です。
粘着パッド対応機種での腰痛に効かせる裏技については、後ほど解説します。

理由2 / 筋肉の厚さ

腰の筋肉の解剖図腰には多くの筋肉が存在します。表層には多裂筋、脊柱起立筋、外腹斜筋が存在します、中間層には腰方形筋、内腹斜筋。深層では腹横筋、大腰筋といったように、多くの筋肉が骨性基盤が存在しない腰を支えています。
このうち中間層から深層の筋肉が慢性的な腰痛では問題となります。筋肉は通常、筋膜と呼ばれるコラーゲンの膜で包まれています。
筋膜による内圧の模式図腰の筋肉は何層にも重なり、深部の筋肉は常に圧力を受けています。そしてコラーゲンの強固な膜が存在しているため、深い部分に存在している筋肉は内圧が高まり循環不全となります。結果として長期間に渡り阻血性の痛みを引き起こします。
腰の筋肉の厚さの模式図腰は、人体の中でも筋肉の層が厚い部位の1つです。

表層の多裂筋や脊柱起立筋から最深部の大腰筋まで、かなり痩せている女性でも6~7cm、体格がしっかりした男性アスリートなどでは10~12cmもの暑さになります。

この筋肉の厚さが低周波治療器にとっては障害になります。なにしろ家庭用の物では、効果が及ぶのは皮膚から1cm内外です。
電気的な物理療法機器の中でも、低周波のものは筋肉層が薄い部位の肩こりなどにはよく効いても、腰痛では『 低周波治療器を使っていても、いまいち効果が実感できない。』というような事になるのは、ここまでに解説した皮膚の電気抵抗と腰の筋肉の厚さがネックとなっているためです。

低周波治療器で腰痛に効かせる方法

低周波治療器のコントローラー低周波治療器の周波数帯は、皮膚の電気抵抗に阻まれて効果が及びにくい理由を、前の項目なぜ 腰には効きにくいのか?で解説しましたが、あきらめることはありません。

家庭用医療器でも、十分に腰に効かせる裏技があります。
家庭用の電気的な物理療法機器では、粘着パッドを使用するモデルが殆どですから、ここから解説する2つの裏技を取り込んで使用すると、安価な機種であっても十分効果を発揮してくれます。

皮膚の電気抵抗を低下させる

電機的周波数帯のノイロスコープ1000Hz以下の周波数帯の低周波電流では、皮膚の電気抵抗に阻まれ、筋肉に十分な電気エネルギーを到達させることが出来ません。

この電気抵抗を突破することが、効果を出すためにはカギとなります。
入浴している女性実は簡単な方法で、皮膚の電気抵抗を低下させることが可能です。

裏技その1
【低周波治療器は入浴後に使用する】
通常、皮膚は3000~5000Ω もの電気に対する抵抗性持っています。ところが入浴直後のしっとりした皮膚では、その電気抵抗は50~300Ω にまで低下します。

角質層が水分を吸収した状態では入浴前に比べ、実に1/10にまで電気抵抗が低下します。この状態を利用すれば、業務用の機器で使われるスパイク電極対応でない、粘着パッドの機器であっても効果を発揮することが出来ます。

閾値を上昇させる

閾値の概念図我々が痛みを感じるとき、外部からの侵害刺激の値が、閾値と呼ばれるラインを超えた時に初めて痛みとして感じています。

この閾値のラインを上昇させれば、痛みを感じにくくなります。
閾値 (いきち) とは、神経の感受性と解釈してもらえばいいかと思います。つまり、神経の感受性を鈍らせ少々の刺激には動じなくすれば、閾値が上昇し、痛みが起こりにくくなります。

低周波治療器の周波数帯では50~100Hz の周波数が神経の閾値を上昇させ、痛みをコントロールしやすくするとされています。
低周波治療器の写真機器の周波数帯を50~100Hzに設定します。

周波数の設定ができない機種でも、【おまかせモード】のようなコースでは、必ずこの周波数帯が含まれているので、それに変えても良いかと思います。

閾値を上昇させる / 実践編

実践前に下記のことに注意してください。

  • この方法は3カ月以上続く慢性腰痛を対象としています。
  • 椎間版ヘルニア他、急性期には行わないでください。
  • 私は、あなたの腰の状態を把握していません。実践にあたっては自己責任で行ってください。
  • 特定の疾患で診断が出されている場合、医師に相談してください。
低周波治療器を使用している女性1まず直立した状態で2~3分ほど電流を流します。

【皮膚の電気抵抗を低下させる】でも解説しましたが、入浴後が皮膚の電気抵抗が低下しているため効果的です。
周波数帯は50~100Hzとします。
低周波治療器を使用している女性2直立した状態で2~3分ほど電流を流した後、可能なところまで身体を前屈します。

前屈した状態で1分ほど維持します。
低周波治療器を使用している女性1前屈状態から再び直立位に戻し、2~3分ほど電流を流します。

その後は、可能な範囲で直立位と前屈位で電流を流すことを繰り返します。
低周波治療器を使用している女性3直立位と前屈位で電流を流すことを繰り返していると、閾値が上昇し、痛み無く前屈できる範囲が広がっていきます。7~8往復が良いかと思いますが、人によって回数の許容度が違うため、ご自身の適量を確認しながら行ってください。
この方法は低周波治療器の周波数帯で、50~100Hzの周波数帯が閾値を上昇させるのに適していることを利用した方法です。

朝晩1回ずつ行う事を継続していると、日常生活上でも痛みが起きにくくなります。

裏技その2
【動きながら低周波治療器を使用して、閾値を上昇させる】

低周波治療器が腰痛に効かない理由 / まとめ

低周波治療器が腰痛には効きにくい電気的な特性や、皮膚の電気抵抗の問題を解説しましたが、使用法によって電気抵抗を低下させることは可能で、動きの中で痛みを感じにくくさせることも可能です。

しかし、電気治療器では深部に届くといわれる高周波治療器でも、その効果は5~6cm程の深さまでです。

慢性的な腰の痛みは、深い部分が機能不全を起こしているケースが多く、その場合には鍼治療が効果を発揮します。腰痛の鍼灸のページで、私が行っている特殊な方法を紹介しています。参考にしてみてください。

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