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鍼灸いちご治療院 鍼灸師・八幡太郎 執筆・監修

鍼灸いちご治療院 TEL.03-5876-8989

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  • 腰の深い部分の痛み【大腰筋性腰痛】
インナーマッスルによる腰痛

大腰筋性腰痛 【鍼灸師が執筆・監修】

大腰筋解剖図あなたの腰痛は、長時間座ったあと立ち上がると痛むタイプの腰痛ではありませんか?
腰の深い部分の痛みではありませんか?

もしかしたら、あなたの腰痛はインナーマッスルが原因で腰に痛みが起きているのかもしれません。

大腰筋性腰痛の症状、原因、治療について解説しています

鍼灸いちご治療院 院長・鍼灸師 八幡太郎このサイトは鍼灸いちご治療院が運営しています。

記事については医療系国家資格である鍼灸師の八幡太郎が執筆・編集・監修しています。

自分でも部位が分かりにくい症状

あなたに、もし以下のような症状があるようでしたら大腰筋性腰痛かもしれません。下記の症状が当てはまらない場合には、あなたの腰痛は別の疾患である可能性があります。

具体的な症状例

  • 長時間座った姿勢から立ち上がるとしばらく腰が痛む。特にソファなど腰が深く沈む椅子でそれが顕著に現れる。
  • 背中を伸ばすのがつらい。前屈は楽にできるが、後屈がつらい。
  • 仰向寝では、寝具と腰の間に手を入れたりタオルを入れると楽。
  • 仰向け寝よりも横向きに寝たくなる。
  • 痛みの質は鈍痛で深い部分のような感覚。
  • 痛む部分を自分自身でもはっきり指し示す事が難しい。
  • くしゃみをすると、腰の深部にひびく。
以上のような症状に加え、場合により坐骨神経痛のような症状がでることがあります。

症状が起きるエリア

大腰筋の症状が起きる範囲椎間板ヘルニアの坐骨神経痛症状との違いですが、椎間板ヘルニアのような神経根性の疾患では、問題が生じた神経の領域に限局性の痛みやしびれが現れます。


椎間板ヘルニアでは腰椎5番神経根が障害され易く、下左図の様になります。


大腰筋が原因となっている脚の症状は、下右図の様に患者さんは大腿前面の広いエリアに症状を訴えます。
椎間板ヘルニアによる下肢症状大腰筋性腰痛の下肢症状
椎間板ヘルニアと大腰筋性腰痛で脚の症状の出方が異なるのは構造上の違いによるものです。椎間板ヘルニアのページで症状の違いを確認してみてください。
大腰筋が原因で起こった脚の症状は、しびれや感覚が鈍くなるという症状となります。痛みを伴わないのが普通ですが、硬くなった大腰筋による長期間の摩擦で、神経炎という状態になると痛みを伴うこともあります。

構造上の原因と日常生活の問題

この腰痛は硬くなった大腰筋が背骨を過度にお腹側に引っ張ることで、筋肉が背骨に付着している部分にストレスがかかる事による痛みです。

また、筋肉は硬くなると、筋肉中のC線維と呼ばれる末梢神経を刺激しますので、こちらの痛みも加わることになります。そして下肢症状は、硬くなった大腰筋が腰神経叢を締め付けることによるものです。

腰神経叢との関係

腰神経叢(ようしんけいそう)と呼ばれる神経の束は腰の奥深くにあり、ここから分かれた神経は脚に広く分布し感覚や運動を担当しています。
大腰筋と腰神経叢との関係この腰神経叢は大腰筋と重なるように同じ部位に存在しています。

そして、それぞれの神経線維は大腰筋の筋束の間を縫うようにして出てきます。
そのために大腰筋が硬くなると腰神経叢を締め付け、脚に痺れや感覚障害を起こすことがあります。この筋肉が硬くなった状態が長期化すると、硬くなった大腰筋が腰神経叢を摩擦し神経炎になり、まれに脚に痛みを伴うことがあります。

大腰筋は腰の前方を広くカバーしているので、第1腰神経〜第4腰神経の範囲で腰神経叢が障害されるため、主に大腿前面に症状が出現します。

ここが椎間板ヘルニアとの違いで、椎間板ヘルニアではL4神経根、L5神経根、S1神経根と呼ばれる部位が単独で障害されることが多く、痛みは激しいですが痛む範囲が限定されています。

※稀に2か所以上が同時に障害されるダブルクラッシュという状態があります

日常生活に潜む原因

筋肉は縮んだ状態を長く維持すると、縮んだままになってしまい自力で元に戻れなくなります。このページで問題としている大腰筋も例外ではありません。
デスクワークしている女性大腰筋は腰の腰椎と太腿の大腿骨に付着しています。そのため、日常の中で最も大腰筋を縮ませる姿勢は座った姿勢になります。
長時間のデスクワークや車の運転は潜在的にこの腰痛のリスクをはらんでいることになります。
日常的に大腰筋を短縮させている方が、冷飲食で内臓を冷やしてしまう事で腰痛を発症してしまうことが少なくありません。
冷たい飲み物の画像大腰筋は内臓の後ろ側に位置しているため、内臓を冷やしてしまうと大腰筋を冷やす事になります。

筋肉は温めると緩んで柔らかくなりますが、冷やすと硬まる性質があります。
長時間のデスクワークや車の運転、冷飲食の他にもリスク要因があります。
これは女性にありがちな要因ですが、ヒールが高めの靴をよく使用する方は上記2点のリスクに、さらにリスクの上乗せをする事になります。
大腰筋が短縮している模式図その理由は、左図のような運動連鎖に起因します。

ヒールの高い靴を履くと太腿やふくらはぎの筋肉収縮します。

@脚の筋肉に引っ張られた骨盤は前方へ傾きます。

A骨盤の前傾に伴い腰椎の湾曲が強くなり、いわゆる反り腰という状態になります。

Bその結果、大腰筋は短縮します。
あなたの腰の痛みが症状例に当てはまるようでしたら、長時間の座位は避け時々立ち上がって背中を伸ばす。冷飲食は極力控え、できるだけ温かいものを摂るようにする。靴を選ぶときは、ややヒールが低めの靴を選ぶ。

このような事を心にとめておくと腰痛対策になります。
腰痛と椅子のページで、座位と腰痛の関係、望ましい座り方の解説をしています。参考にしてみてください。

※腰の湾曲が浅い、いわゆる平背の方はややヒールのある靴を選択した方が腰のためには良いです。腰痛対策はタイプにより全く反対の対策が必要になる事が少なくありません。

治すための3つの治療ポイント

大腰筋性腰痛を改善するための手法には、関節モビリゼーションやマッスルエナジーテクニックと呼ばれる治療法があります。

時には私もそれらのテクニックを補足的に使うことがありますが、正直なところ鍼ほどの効果を得られないというのが実感です。

この項目では、大腰筋性腰痛への鍼でのアプローチ法を記述しています。

治療に必要な視点

大腰筋の機能不全を改善させるためには、大腰筋そのものへのアプローチはもちろんですが、他にも運動連鎖を考慮する必要があり、合わせて3つのポイントがあります。

3つの治療ポイント

  • 大腰筋を緩め機能を正常化する。
  • 骨盤の前傾を後ろへ引き戻す。
  • 強すぎる背骨の前方への湾曲を弱め、ゆとりを持たせる。
まず、骨盤前傾・背骨の前湾をもたらす主な要因である大腰筋にアプローチです。大腰筋という筋肉は腰の最深部に位置する筋肉です。そのため通常の長さの鍼では用をなしません。
長鍼とボールペンの比較大腰筋や臀部など、深部に鍼を届かせる必要があるときに使用する鍼で、3寸 15番と呼ばれる鍼です。

ボールペンと比較すると、鍼の長さがよくお分かりになると思います。
3寸の長鍼、刺入前長さ 90mm × 太さ 0.45mmの鍼で、一般的な治療院ではまず使用することがない鍼です。

特殊な鍼であるため、鍼メーカーに特別注文して作ってもらった鍼です。大腰筋治療では欠かせない鍼です。
3寸の長鍼、刺入後大腰筋に鍼を刺入していく前後の様子です。

鍼は刺せば効くというものではなくではなく、確実に的を捉えなくては効きません。0.1mmの精度でポイントを探りながら、鍼を刺入します。
大腰筋治療ポイント図のポイントに鍼を刺入していきます。腰椎の横に張り出している骨を肋骨突起と呼びます。この上下の肋骨突起と肋骨突起の間隙を狙います。

当然、体表からは見えません。鍼治療の職人としての経験と指先の感覚で、寸分違わず的を捉え刺入します。
腰痛の鍼灸というページを設けています。針治療のメリットやデメリット、いろいろな針治療の手法を解説しています。参考にしてみてください。

大腰筋へのアプローチが治療のメインになりますが、骨盤前傾・背骨の前弯を正すためには、別の視点からのアプローチをとることもあります。

骨盤の前傾を強める太腿の大腿直筋や、背骨の湾曲を強める腰の腰最長筋・腸肋筋と呼ばれる筋肉が原因となっていることもあるためです。

患者さんの改善状況と手記

この項目では、実際の患者さんの治療例と改善状況を、患者さんご自身による手記も交え紹介します。

実際の症例

立花 ゆかり さん立花 ゆかり さん (32歳)
埼玉県浦和市

主訴
腰の左側の、深部の痛み

現在までの経緯

立花さんは、3年ほど前の転職をきっかけに、腰の深部に痛みが起きるようになりました。

お仕事では、腰を深く落とした屈んだ姿勢をとることが多く、最初のうちは違和感程度だったものが、年月の経過とともに深部の鈍痛に変化したそうです。

1年ほど前までは、屈んだ姿勢の後に腰を反らせるように伸びをすれば、鈍痛は軽減していたそうです。数カ月前から職場で人が足りなくなり、十分な休憩時間も取りづらくなったころから、自分ではどうすることも出来ない痛みになったそうです。

なにが原因であったのか

立花ゆかりさんの腰部MRI画像いくつもの整形外科を受診されていて、CTやMRIといった画像診断を受けられていますが、整形外科では問題を発見できていません。

確かに、脊柱管や神経根に問題はみられず、画像上では異常が見当たりません。
立花さんはケースでは、【腰を深く落とした屈んだ姿勢をとることが多く…】これが問題でした。屈む姿勢は股関節を深く屈曲することになり、大腰筋と腸骨筋を短縮することになります。

そして、長時間その姿勢を強いられる事が続いたために、腸腰筋 ( 大腰筋+腸骨筋 ) が短縮したまま元に戻りにくくなったと推測されます。

これはデスクワークや車の運転にも言えることで、坐る姿勢が長時間に及ぶ人は、大腰筋が問題を起こすケースが少なくありません。

腸腰筋には、なぜマッサージが効かないのか?

短縮して硬くなった筋肉には、鎮痛剤の服用や湿布の使用は殆ど意味を持ちません。深部の大腰筋ともなれば尚更です。実際、立花さんも病院で出された鎮痛剤とパップ剤は効果が感じられないため、すぐに使うのをやめてしまったそうです。
腸腰筋の解説 筋肉が硬くなると循環不全が起き、阻血性の痛みが起きます。このような痛みを改善するためには、その筋肉を緩める必要があります。

ところが腸腰筋 ( 大腰筋や腸骨筋 ) の痛みはマッサージで改善することが出来ません。

揉んで改善しようとしても、揉むには大腰筋は深すぎて揉めず、腸骨筋はそもそも指が入らない部位に存在します。
立花さんも当初は、整骨院や整体院で腰を揉んでもらうことで改善を試みたそうですが、肝心な部分に全く効いている感じがせず、同様な痛みに悩んでいた同僚が鍼治療で治った話を耳にして、当院にお越しになりました。

治療の様子

大腰筋、腸骨筋、腰方形筋の治療中の様子治療中の様子です。
立花さんは、大腰筋だけでなく、同時に腸骨筋、腰方形筋といった深い部分に存在する筋肉群も問題を起こしていました。
他、脊椎支持筋の多裂筋も二次的に痛みを発していたため、こちらにも刺鍼しました。
大腰筋・腸骨筋・腰方形筋大腰筋と腸骨筋は本来別々の働きをする筋肉ですが、2つを合わせ【腸腰筋】と呼ばれる事もあります。

腰方形筋は、腰の中間層に存在する筋肉で、左右の安定性に寄与する筋肉です。屈んだ不安定な姿勢を続けたことで、体幹を支える筋肉群が問題を起こしたと推定できます。
3寸の鍼こちらが3寸の15番の鍼です。

立花さんの治療では、鍼柄 (しんぺい) と呼ばれる持ち手の部分が長いタイプの物を使いました。浅層に刺した鍼とタイプの違う物を使うことで、明確に区別できるためです。

改善状況と、患者さんによる手記

立花さんの治療ではおよそ3回の治療で、深部に痛みが起きることは無くなりました。一旦、ニュートラルな状態に戻すことが出来たものと思います。

しかし、お仕事で腰を落として、股関節を深く屈曲させる姿勢をする機会が多いことに変わりはなく、定期的なメンテナンスが推奨されるケースです。現在は2ヶ月に1回ほどの割合で、本格的な痛みが起きる前にメンテナンスにお出でになっています。


立花さんから頂戴した手記を掲載します。モバイル端末で読みにくい場合には、原文そのままで打ち出したものを、手記の下に掲載しています。買い被り過ぎかと思える部分もありますが、そのままで打ち出しています。 立花ゆかりさんの手記1立花ゆかりさんの手記2
私は辛かった腰の痛みが、いちご治療院さんの針治療ですっかり良くなりました。

今までは、近所の接骨院でマッサージや電気治療をしてもらっていたのですが、表面的には楽になるのですが、一番なんとかしたい腰の深い部分が改善しないままでした。病院に行っても湿布と薬を出されただけで期待する効果が得られませんでした。

仕事中に痛くなるのはいつもの事でしたが、2カ月くらい前からは寝ている時にも問題が起き始めました。横向きに寝れば痛みはないのですが、腰の深い部分に変な違和感があり、それが気になって不眠気味にもなっていました。

このままではどんどん悪循環にはまっていくような気がして不安になり、針治療は初めてでしたが、いちご治療院さんに思い切って電話しました。

先生は時々、ご自分のことを針治療の職人とおっしゃっていますが、本当にそうだと思います。先生が刺す針は全部が『そこ!』という所にピンポイントで当たるんです。自分の体ではないのに!見えないところなのに!すごく深い所なのに!いつも『 なんでこんなことが出来るんだろう。本当にすごい!』と思っています。
本物の職人の技だと思います。

大腰筋性腰痛 / まとめ

大腰筋性腰痛を治すためには、下記3つのポイントへの視点が必要です。
  • 症状をもたらす主因である大腰筋を緩め、機能を正常化する。
  • 2次的に背骨の湾曲を強める腰の背筋群を治療し、背骨にゆとりを持たせる。
  • 骨盤を前傾させる大腿直筋も時には治療ポイントとなり、骨盤を後方回旋させやすくする。

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※ただし、その方ご自身が特殊な鍼での施術を希望する場合のみ、特殊鍼の実費をご負担ください。こちらから無理にお勧めすることは一切ありませんのでご安心ください。

※施術中の写真で特殊鍼を使っているものもありますが、
原則的にはそれらの特殊鍼を使わず、追加の費用が発生しない形での対応としています
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