内臓疾患と腰痛 【鍼灸師 執筆・監修】
内臓疾患が原因になっている腰痛や背中の痛みについて、いくつかの疾患をリストアップして解説しています。
このページの情報が、あなたの腰痛対策の一助になれば幸いです。
注意すべき腰痛の随伴症状
腰痛や背中の痛みは、腰に構造的・機能的な問題がある事で発症する痛みだけでなく、内臓機能に問題があり腰や背中に症状が起こっていることがあります。
腰痛対策、腰痛治療を選択するにあたり以下のような症状がみられたら、出来るだけ早く医師の診察を受ける必要があります。重篤な病気が潜んでいる可能性も考えなければなりません。
- 発熱がある。
- 体動によって痛みが変化する訳ではなく、就寝中や安静中に痛む。
- 急に体重が減少してきた。
- 長期間ステロイドを使用している。
- 尿が出にくい、残尿感がある。
- 事故後に発症した。
- 食欲が低下していて、日常的にだるい。
- 癌、HIV、糖尿病の既往がある。
- 関節のこわばりと疲労感を伴う。
- 腰痛と生理周期に相関性を感じる。(女性)
- 20歳以下での急な発症。
- 70歳以上での急な発症。
- 10分以上立っていることが出来ない。
腰や背中の痛みの症状に併せ以上のような症状が伴っていたら、漫然と保存療法を受け続けるべきではありません。できるだけ速やかに医師の診察を受ける事をお勧めします。
自分の腰や背中の痛みの原因がはっきり分からない時は、腰の痛みの症状から調べられる【腰痛症状】というページを設けています。参考にしてみてください。
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記事については医療系国家資格である鍼灸師の八幡太郎が執筆・編集・監修しています。
腰や背中に痛みの症状が起こる内臓疾患
内臓疾患が原因になる腰痛や背中の痛みは、腰や背中そのものに構造的・機能的な問題があるわけではなく発症する症状です。そのため、以下のことがとても重要な要素になります。
※身体の動きに伴うか否かではなく、安静にしていても痛む
そのような症状がみられたら、腰・背中の痛みの原因は内臓疾患かもしれません。
腰や背中に痛みが起きる内臓疾患をリストアップしています
狭心症や心筋梗塞では、胸部に締め付けられるような痛みが起きるのが通常ですが、稀に顎、咽頭部、左肩、背中などから症状が起きることがあります。
また、高齢者や糖尿病の機能がある人は殆ど症状がみられないことがあり、注意が必要です。
狭心症の症状
- 胸全体の締め付けられるような痛み
- 胸部の圧迫感
- 冷や汗
- まれに背中の痛み
狭心症では、胸部の圧迫感や痛み以外の症状として、以下のような症状がみられることがあります。
- 喉の閉そく感、詰まった感じ
- 左肩や左腕の痛み
- 顎の痛み
- 歯が浮くような感じ
- 胃周辺の重だるさ
心筋梗塞の症状
- 前胸部の強い痛み圧迫感
- 冷や汗
- 吐き気
- 嘔吐
- 呼吸困難
- 恐怖感、不安感
心筋梗塞では、殆どの場合、症状は前胸部にみられますが、以下の部位に症状が起きることがあります。
【狭心症・心筋梗塞】のページで詳しく説明しています。
突然の腰の激しい痛みで、ぎっくり腰と間違われる事もあります。ぎっくり腰との重要な違いは、身動きを全くしない安静状態でも激しい痛みが続くことです。
この疾患は自己判断は大変危険です。以下のような症状がみられたら、緊急を要します。
大動脈解離の症状
- 突然の激烈な胸部痛・背部痛が起こります。
- ぎっくり腰との重要な違いは、身動きを全くしない安静状態でも激しい痛みが続くことです。
- 前胸部→背部→背部下方に激烈な痛みが移動する。(動脈壁の解離が進行による)
激しい痛みが移動するのが特徴的な大動脈解離の症状です。
突然の激烈な胸部痛が60~65%にみられ、背部痛は80%に起こります。動脈壁の解離が進行するのに併せ前胸部→背部→背部下方に激烈な痛みが移動する事が少なくありません。
腹部大動脈瘤
大動脈瘤の多くは初期には無症状です。大動脈瘤が拡大すると周囲の組織が圧迫され、そのことにより痛みが起こる事があります。
血管壁が血圧に耐えきれなくなると大動脈瘤が破裂する事があります。
【腹部大動脈瘤・大動脈解離】のページで詳しく説明しています。
肺を包む胸膜に炎症が起こっても、腰の上部や背中に痛みが起きることがあります。
日本で発症する胸膜炎は癌性胸膜炎と結核性胸膜炎の割合が高く、この項目の症状が当てはまるようでしたら、早期に呼吸器科を受診すべきです。
胸膜炎の症状
- 胸の痛み。多くの場合に片側
- 背中の痛み
- 咳。通常痰は少なく乾いた咳。原因によっては痰がからむことも
- 咳や深呼吸で、胸や背中の痛みが増悪する
- 胸水が生じた場合には、息切れや呼吸困難
- 発熱。感染症が原因である場合
- 食欲不振、倦怠感
- 寝汗。結核性胸膜炎の場合
胸膜炎では通常、左右いずれかの胸に痛みが起きます。細菌感染が原因であった場合には両側に痛みが起きるケースもありますが、左右ともに痛みが起きるのは少数です。
また、胸膜の炎症反応が背中側に強く起きている場合、胸の痛みに先行して背中に痛みが起きることがあります。
【胸膜炎による背中の痛み】のページで詳しく説明しています。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍では、背中や腰に痛みが起きる頻度は高くはないですが、潰瘍ができた部位によっては腰背部に放散する痛みが現れることがあります。
上部消化器潰瘍の原因の多くはピロリ菌と消炎鎮痛剤による副作用です。
胃潰瘍の症状
- みぞおち付近の痛みや胸やけ
- 食後に痛みが増悪する
- 背中の痛み
- 吐き気
- 腹部膨満感
- 食欲不振
- 悪化した場合、吐血
胃潰瘍は中高年に発症しやすく、食後にみぞおち付近や背中に痛みが起きやすい特徴があります。
十二指腸潰瘍の症状
- みぞおち付近の刺し込むような痛み
- 胸やけ、むかつき
- 腹部膨満感
- 背中の痛み
- 就寝中や空腹時に痛みが増悪する
- 食欲不振
- 悪化した場合、ドロドロしたコールタール様の便
十二指腸潰瘍は比較的若年層に発症し、空腹時や夜間就寝中に腹部や背中に痛みが起きる特徴があります。
【胃潰瘍・十二指腸潰瘍】のページで詳しく説明しています。
膵炎による腰や背中の痛みは特徴的な症状を示します。
特に急性膵炎では急激で激しい症状が顕著に表れ、仰向け寝で痛みが増し、座位でエビのように体を丸めると痛みが軽減する傾向があります。
急性膵炎の症状
- 背中から腰にかけての痛みや、上腹部の痛み。
- 仰向け寝で痛みが増し、座位でエビの様に体を丸めると痛みが軽減する。
- 進行すると発熱がみられる。
- 重症例では呼吸困難、ショック状態、意識障害がみられる。
慢性膵炎の症状
- 上腹部痛、腰背部痛を繰り返している。
- 腹部膨満感、悪心、嘔吐、食欲不振。
- 進行すると消化吸収障害による脂肪下痢がみられる。
- 膵炎からの二次的糖尿病の症状。
【急性膵炎・慢性膵炎】のページで詳しく説明しています。
肝炎は、肝臓の状態によって劇症肝炎、急性肝炎、慢性肝炎に分けられます。
原因は、日本ではウィルス感染によるものが最も多く80%を占めています。他、アルコール性肝炎、薬物性肝炎、自己免疫性肝炎などが存在します。
肝炎の症状
劇症肝炎の症状
- 発熱、頭痛、喉の痛みなどの風邪のような症状
- 倦怠感
- 食欲不振
- 吐き気、嘔吐
- 尿の色が濃くなる。黄疸
- 腹痛、背中の痛み
- 鼻血、歯肉出血
- 頻脈、頻呼吸
- 意識障害、興奮状態、譫妄(せんもう)状態となる肝性脳症
- 悪化した場合、腎不全、脳浮腫
急性肝炎の症状
- 発熱、頭痛、喉の痛みなどの風邪のような症状
- 全身の怠さ
- 食欲不振
- 吐き気、嘔吐
- 尿の色が褐色になる、黄疸
- 腹痛、背中の痛み
- 関節の痛みや発疹がみられることがあります
慢性肝炎の症状
- 多くの場合、無症状。以下の様な症状がみられることがある
- 疲れやすい
- 食欲不振
- 怠さ
肝炎では、内臓体表反射による痛みで、腰や背中に痛みが出ることがあります。また、右肩に長引く肩凝り様の症状がみられることがあります。肝臓が右側に存在しているため、症状の多くは通常は右側にみられます。
【肝炎による背中の痛み】のページで詳しく説明しています。
肝臓の下の小さな袋状の器官である胆嚢に問題が起きると、腰痛が起きることがあります。
胆石が出入口に詰まると上腹部から右脇腹、右の背中から腰にかけて、右肩などに強い痛みが放散します。
胆石 / 胆嚢炎の症状
- 上腹部から右脇腹、右の背中から腰にかけて、右肩などに痛みが放散します。(胆石が胆嚢の出入口の頚部に詰まってしまう事による)
- この疾患では、多くの場合に症状が全くありません。(無症候性胆石)
【胆石・胆嚢炎】のページで詳しく説明しています。
腎盂腎炎は女性に多く発症する疾患で、外陰部から侵入した細菌が、上行性に膀胱、輸尿管を経て腎盂で増殖し、炎症を起こしている状態です。
背中の下の部分を僅かに叩いただけでも、飛び上がるほどの痛みが起きます。
腎盂腎炎の症状
- 38℃を超える発熱。40℃を超える事もあります。
- 悪寒
- 尿意切迫感・頻尿
- 倦怠感
- 食欲不振
- 腰や背中の痛み
背中をわずかに叩いただけでも激しく痛み、排尿にまつわる随伴症状があるようでしたら腎盂腎炎の可能性があります。
【腎盂腎炎による背中の痛み】のページで詳しく説明しています。
尿路に原因があり背中・腰・側腹部にかけ刺し込むような強い痛みが起きることがあります。
血尿・尿意切迫感・残尿感・頻尿を伴っているようなら、腎臓、膀胱、輸尿管などでの尿路結石を疑う必要もあります。
尿路結石の症状
- 背中・腰・側腹部にかけ刺し込むような痛み。
- 血尿・尿意切迫感・残尿感・頻尿。
- 悪心・嘔吐・冷や汗
腰の痛みに加え、上記の随伴症状がみられたら尿路結石の可能性があります。腎臓、輸尿管、膀胱、尿道に結石ができることが原因です。
【尿路結石】のページで詳しく説明しています。
女性特有の腰の痛みがあります。
月経周期と腰の痛みに関連性が感じられたら、女性器疾患の可能性を考慮する必要があります。
子宮筋腫や子宮内膜症では、随伴症状として腰の痛みが起こることがあります。
子宮筋腫の症状
- 生理痛が重くなり10日以上続く
- 月経血量が増加し、血の塊が混ざる
- 症状が重くなると貧血に伴う動悸や息切れ
- 頻尿・便秘・下腹部痛
- 腰痛 ( 月経時以外のときも腰痛が現れやすい )
筋腫が大きいと月経時以外のときも腰痛が現れやすい傾向があります。随伴症状として頻尿・便秘・下腹部痛。多くの方は月経血量が増加し、血の塊が混ざるという症状がみられます。
子宮内膜症の症状
- 腰痛・骨盤痛
- 発熱、おう吐、頭痛
- 排便時の肛門痛
- 性交痛
- 月経時の経血量の増加・不正出血
- 腰痛・下腹部痛が月経時以外にも起こる
腰痛・下腹部痛が月経時以外にも起こるなどもよく見られる症状です。
【子宮筋腫・子宮内膜症】のページで詳しく説明しています。
内臓疾患と腰痛 / まとめ
安静にしていても痛む。発熱がある。そのような症状がみられたら、速やかに医師の診察を受ける必要があります。
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