急性痛と慢性痛の違い 【鍼灸師が執筆・監修】
痛みは対処の仕方を誤ると難治性の痛みになりかねません。
このページでは急性痛と慢性痛の違いについて解説しています。
いろいろな痛みについてナビゲートしている【痛みのメカニズム】というページを設けています。参考にしてみてください。
このページは以下の構成になっています。
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記事については医療系国家資格である鍼灸師の八幡太郎が執筆・編集・監修しています。
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そもそも、人間は心地良い感覚だけを感じるように進化しても良さそうなものですが、なぜ痛みなど不快な感覚が起こるのでしょう?
画鋲やガラス片などの鋭い物を誤って踏みつけてしまい、とっさに飛びのいた経験はどなたにでもあると思います。
これは逃避反射と呼ばれる現象で、身体を防御するため無意識的に体が反応する現象です。この時、痛みを感じなかったら体が受けるダメージは大きなものになってしまいます。
このように痛みには警報としての意味があり、危険からあなたの体を守っているのです。
ごく稀に、生まれつき痛みを感じない【先天性無痛症】という疾患をお持ちの方が存在します。
先天性無痛症は、先天的に脚や腕に温度や痛みを感じない疾患です。この疾患の方は手足を損傷しても痛みを感じないために、細菌性壊死が起こり亡くなる事も少なくありません。そのため、先天性無痛症の方は短命である傾向があります。
痛みは辛く不快な感覚です。しかし、痛みを感じるからこそ身体が守られている側面があるのです。
WHO(世界保健機関)では痛みを以下の3つに大きく分類しています。
この分類は痛みを発症する機序や性質の違いによるものです。この3つの他、心が引き起こす【心因性疼痛】が分類に入る事もあります。
侵害受容性疼痛は急性痛の代表的な痛みの形態です。神経因性疼痛は慢性痛の一部の形態です。癌性疼痛はあらゆる形態の痛みを包含した複雑な状態です。
これから先の項目で、日常的に起きやすい急性痛と慢性痛について解かりやすく解説しています。
急性痛と慢性痛はいったいどこで区別するのでしょうか?
怪我をしたときなど、急に発症する痛みを一般的に急性痛と呼びます。その後、痛みの原因である怪我が治った後にも残る、長きにわたる痛みは慢性痛と呼ばれます。
また、医療の世界では発症から3か月以内の状態を急性、3か月を超えるものを慢性と区別する事もあります。
他、外傷後の疼痛などでは、その傷が癒える期間を1か月以上経過したにも関わらず、痛みが継続している状態を慢性痛と定義する事もあります。
慢性痛の方が定義の幅が広く…
- 痛みの原因が治っているのに、痛みが続いている状態
- 痛みの原因そのものが治るのに時間がかかり、痛みが続いている状態。
- 原因らしい原因がないのも関わらず痛む状態
以上のような状態を慢性痛と解釈して良いと思います。
下記の表は【マクギル疼痛スコア表】と呼ばれるものです。
急性痛を起こす疾患、慢性痛を起こす疾患をいくつかピックアップし数値化した表です。
それぞれの疾患において痛みの感じ方に個人差があるため、必ずしも当てはまる訳ではありませんが、尺度の1つとして信頼度の高いものです。
外傷を負った時などは急激に痛みが起こり、その痛みが数日間続きますが、この痛みは2段階で成り立っています。
1つは外傷などにより組織が損傷し、細胞が壊れた壊れたことによる痛みで、2つ目は損傷した細胞が修復される段階で起きる痛みです。
いずれにしても、損傷と同時に炎症が起きていますから、急性痛は消炎鎮痛剤がよく効く痛みです。
組織損傷時の痛み
怪我をして血管や細胞が傷つくと、カリウムイオンや水素イオンが細胞から流れ出します。これらの物質が侵害受容器と呼ばれる神経のセンサーを刺激し痛みが起こります。
そして、出血した血液がコラーゲンと化学変化を起こし、直接痛みを起こすブラジキニンという物質が作り出されます。
組織が損傷すると細胞中のカルシウムイオン濃度が高まり、その事でプロスタグランジンが作り出されます。プロスタグランジンはそれ自体では痛みを起こしませんが、先に挙げた上げたブラジキニンなどと反応すると、拡声器の役割を果たし痛みをより強くします。
ちなみに、湿布薬などに含まれるインドメタシンなどの物質はこのプロスタグランジンの働きを抑制します。
以上のようなことが組織損傷時に起き、第一波の痛みがやってきます。
修復に伴う痛み
組織損傷後、身体は治癒へ向け損傷した組織の修復作業に取り掛かるのですが、血小板が血液を凝固させるときセロトニンという発痛物質を生み出します。このセロトニンは損傷部位では痛みを起こす物質として働くのですが、脳や脊髄などの中枢では痛みを抑制する物質として働きます。
また、細胞再生には白血球の働きが欠かせませんが、組織修復に伴う白血球の働きの結果として、先ほども触れたプロスタグランジンが増産され痛みを増強します。
怪我をして痛みが起こる。その痛みは辛いものですが、組織損傷時に痛みが起こらなければ、我々は平気で行動して損傷を拡大してしまうでしょう。また、修復途中にも痛みが起こらなければ行動に支障をきたさず、その結果いつまでも損傷部位の修復は進まない事になってしまいます。
このように、外傷などに伴う急性痛は、より良く治るために身体が発しているシグナルなのです。
急性痛には警報・警告、または体に安静を促すためのシグナルという意味がありますが、多くの慢性痛は痛むことにその意義がありません。
多くの慢性痛は【負のスパイラル】と言ってもいい状態にあり、自力で抜け出すことが困難な状態です。
さまざまな痛み
慢性痛の説明に入る前に、まず神経の予備知識を入れておいてください。
神経の種類 |
役割り |
太さ |
伝達速度(m/秒) |
Aーα(アルファ)神経線維
β(ベータ)神経線維
ɤ(ガンマ)神経線維
δ(デルタ)神経線維
|
筋肉線維から中枢への伝達・運動神経
触覚や圧力を感知
骨格筋の伸長度を調節
痛覚・冷温覚
|
15μm
8μm
5μm
3μm
|
100
50
20
15
|
B神経線維 |
交感神経の中枢寄りの神経 |
1~3μm |
7 |
c神経線維 |
痛覚・交感神経の末梢側の神経 |
1μm |
1 |
神経線維は太さによってA~Cの3つに分類され、さらにA神経線維は働きの違いによってα(アルファ)~δ(デルタ)の細分化されます。
神経線維は太いものほど情報伝達速度が速く、光回線でのインターネット情報通信速度と通常電話回線での通信速度のような違いがあります。
通常、痛みを伝えるのはAδ(エーデルタ)神経線維とC神経線維が伝えます。
Ąδ神経線維には高閾値侵害受容器と呼ばれるセンサーがあり、尖ったものを踏んだ時に、瞬時に鋭い痛みを感じるのがĄδ(エーデルタ)神経線維です。
一方、C神経線維は身をよじって逃げたくなるような鈍痛を感じる神経で、ポリモーダル侵害受容器と呼ばれるセンサーを備えています。このセンサーは各種の物質に反応するセンサーで、慢性痛に大きく関わるのがC神経線維です。
他、Ąβ(エーベータ)神経線維が難治性の慢性痛に関わるようになることもあります。
通信速度の違い
Ąδ神経線維とC神経線維の通信速度の違いは神経の太さの違いだけではなく、その他の構造上の違いがあります。
Ąδ神経線維はC神経線維に比べ直径が太いだけでなく、髄鞘(ずいしょう)と呼ばれる被膜に包まれています。
Ąδ神経線維の信号の伝わり方は、この髄鞘に包まれていない部分を跳び跳びに伝わります。これを跳躍伝導と言います。
跳躍伝導は言って見ればSFのワープのようなもので、そのためC神経線維の15倍もの通信速度で電気信号が伝わります。
神経損傷による慢性痛
外傷や炎症、ウィルスなどで神経の被膜である髄鞘が剥がれてしまうと、正常状態で絶縁されていた神経線維がむき出しの状態になり、電気信号がいわば漏電する事態になります。
例えば、本来痛みを伝える神経ではなく、触覚や圧力を伝えるはずのĄβ(エーベータ)神経線維が傷つき髄鞘が剥がれたことで漏電し、周囲の痛みを伝える神経を刺激して痛みが起こる事があります。
痛みが起こるほどの刺激ではなく、物がわずかに触れただけでも痛みが起こる状態はこの事が原因になっている事があります。
神経線維の再生不良で起こる痛み
通常、中枢神経は破壊されると再生しませんが、末梢の神経線維は損傷しても再生します。
しかし、その再生過程で元のように再生されず、誤った形で神経線維が再生されてしまう事があります。
末梢神経では外傷などで神経線維が切れてしまっても、しばらくすると神経線維の再生が起こり始めます。
しかし、損傷の程度が大きかったり、癒着などが存在し神経再生を妨げると、正常に再生できず【神経腫】という形状になってしまいます。
【神経腫】は神経線維の塊であるために極めて敏感で、僅かな刺激でも痛みを起こします。この神経線維の再生不良も慢性痛の原因の1つになります。
侵害受容性慢性疼痛
侵害受容性慢性疼痛も慢性痛の原因の1つとなります。
というよりも、日々「どこへ行っても治らなかった。」という方々を治療していて思う治療職人の実感ですが、慢性痛の多くの場合がこれに当たるのではないか、そう思えて仕方ないのです。
侵害受容性慢性疼痛は原因となる状態が把握できていても、それを無くしてしまう事が困難なものを指します。
侵害受容性慢性疼痛には、慢性腰痛、慢性的な頚部痛、緊張型頭痛、筋筋膜性疼痛など運動器疾患が多く含まれます。
一般的にはこれらの疼痛は、自律神経の交感神経も絡んだ【負の悪循環】に入り込んでいるため治していく事が困難な面もありますが、私はこれらの治療を得意分野としています。
私の治療でこれらが速やかに治っていく様子を日々見つめていると、冒頭の言葉のように、慢性痛は多くの場合が侵害受容性慢性疼痛ではないか、と思えて仕方がないのです。
慢性痛・それは負のスパイラル
慢性痛では、自律神経が関わり痛みの悪循環をもたらす、負のスパイラルに入り込んでしまう事があります。
自律神経はリラックスしている時に働き、内臓機能を活発にしたり血管を緩め血圧を下げたりなどの働きを持つ副交感神経と、緊張状態で働き血圧を上昇させたり、内臓機能を低下させたりする交感神経に分けられます。
痛みが起きている時は体にとっては云わば戦闘状態と言ってもよく、交感神経が極度に興奮している状態です。
交感神経の機能が亢進すると、疼痛部位では血液循環が悪化し虚血状態となります。その結果、組織や細胞が酸素欠乏・栄養不良に陥ります。
人体は虚血状態にある部分に一酸化窒素を作り出します。この一酸化窒素は2つの意味で【痛み】に対し問題を起こします。
問題の1つが、一酸化窒素が痛みを起こす発痛物質である事です。元々存在する発痛物質の痛みに加え、交感神経の興奮で作り出された一酸化窒素により痛みの加重が起こってしまいます。
そして問題の2つ目は、一酸化窒素が痛みを感じる神経の長期間に及ぶ興奮を維持する作用をもたらすことです。
神経は、手足などの末端から中枢の脳までが1本の神経で繋がっているわけではなく、いくつかのポイントで信号を中継して、脊髄・脳に信号が到達します。この中継ポイントをシナプスと呼びます。
正常な働きをしているシナプスでは、末端からの信号の入力を受け神経伝達物質で次の神経に情報を送ります。神経伝達物質の入力を受けた神経は、その情報を電気信号に置き換え中枢へ情報を伝えます。
ところが、交感神経の亢進状態で局所に虚血が起きると一酸化窒素が作り出され、その一酸化窒素はシナプスを刺激し、末梢からの情報の入力がないにも関わらず神経伝達物質を作り出してしまいます。
そうなると、下記のような悪循環の負のスパイラルが形成されてしまいます。
交感神経の興奮→局所の血流障害→一酸化窒素の産生→シナプスの興奮→痛み→交感神経の興奮→局所の血流障害→一酸化窒素の産生→シナプスの興奮→痛み→交感神経の興奮→局所の血流障害→一酸化窒素の産生→シナプスの興奮→痛み→交感神経の興奮→局所の血流→一酸化窒素の産生→シナプスの興奮→痛み……
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ここまでいくつかの慢性痛の痛みのメカニズムの説明をしてきましたが、
急性痛よりも慢性痛の方が痛みの根が深く複雑なため、抜け出すことが困難な場合も少なくはありません。
特に注意を要するのが、侵害受容性慢性疼痛・交感神経の興奮・鎮痛剤や湿布、この三つどもえの組み合わせによる痛みの悪循環です。
薬剤と慢性痛の関係
侵害受容性慢性疼痛の項目でも触れましたが、このタイプの慢性痛には慢性腰痛、慢性的な頚部痛、緊張型頭痛、筋筋膜性疼痛などが含まれます。
これらは多くの場合、筋肉、筋膜、靭帯などの原因が慢性化したものです。
鎮痛剤や湿布、交感神経の興奮がこの慢性化に絡んでいます。
筋肉や筋膜などの軟部組織が原因になっている慢性痛で、漫然と鎮痛剤や湿布薬を使い続ける事は自ら治癒を遠ざける事になりかねません。
体に障害が起きた時、ブラジキニンと呼ばれる発痛物質や、その痛みを増強し炎症起こすプロスタグランジンと呼ばれる物質が作り出されます。細胞が破壊されると、膜の成分がアラキドン酸と呼ばれる物質に変容します。
プロスタグランジンは、アラキドン酸にシクロオキシナーゼと呼ばれる酵素が働き生成されます。痛みを抑えるために使用する湿布薬に代表されるパップ剤は、このプロスタグランジンの生成を抑制することで鎮痛を図ります。
そもそも、痛みは本来的には警告信号で、炎症は治癒反応です。急性痛の激しすぎる痛みを幾分かでも抑えるために、【急性期のみ】鎮痛剤や湿布薬を使用することはやむを得ないかもしれませんが、漫然と使い続けることは慢性化につながるため避けたほうが良いでしょう。
プロスタグランジンはいくつかの型があり、PGE2と呼ばれるプロスタグランジンが炎症に深くかかわります。プロスタグランジンの作用で血管が拡張し、障害部位の血液循環が改善されます。
湿布薬や消炎鎮痛剤は痛みを抑えることと引き換えに障害部位の血流障害を招いてしまいます。血流障害は一酸化窒素を作り出し、それが慢性痛の一因でもある事は【負のスパイラル】の項目でも触れています。
つまり、消炎鎮痛剤や湿布薬類を漫然と使い続けることは、自らマッチ・ポンプを延々と繰り返していると言い換える事も出来ます。
湿布薬の他、抗炎症薬はステロイドと非ステロイドに分けられますが、ステロイドの長期服用は免疫抑制、胃潰瘍、骨粗鬆症の副作用がありますし、非ステロイド系の消炎鎮痛剤は短期使用でも胃腸障害の副作用があります。
薬剤と交感神経亢進の関係
ステロイド、非ステロイド系消炎鎮痛剤、湿布薬類に共通する問題点は長期使用していると必ず交感神経の亢進を起こしてしまう事です。
上記の薬剤を使用する事で障害部位の血流障害を起こしているのに、交感神経の亢進でその血流障害に拍車がかかってしまいます。
その結果、抜け出せない慢性化が完成してしまいます。
筋肉と交感神経亢進の関係
さらに問題となるのは、侵害受容性慢性疼痛が慢性痛の多くを占め、その根底には筋肉や筋膜などの軟部組織の問題が絡んでくるためです。
交感神経は副交感神経と対の自律神経です。本来、血圧や、脈拍、内臓機能などを調整する神経で、痛みとは関連が薄いはずの神経ですが、状況により交感神経が慢性痛に関連するようになると厄介な痛みになりかねません。
筋肉を支配する神経
筋肉の痛みを伝える神経はAδ(エーデルタ)神経とC神経に分けられます。
Aδ(エーデルタ)神経線維は、外傷で激しくぶつけた時や物が刺さった時などに瞬時に痛みを伝える神経です。主に筋膜に分布しています。
C神経線維は、酸などの化学的刺激や45度以上の熱刺激、ぶつけるような機械的刺激なども感じ取る神経です。遅発性の痛みを伝える神経で、主に筋肉の中に分布しています。
筋肉が日常生活や仕事でミクロレベルでの微細な傷を受けると、すぐには痛みを感じることはありません。
傷が治癒する過程で、傷を受けた細胞が白血球のマクロファージに取り込まれます。この時、痛みを感じさせるブラジキニンという物質が分泌されます。このブラジキニンが筋膜を刺激したり、筋肉中のC神経線維を刺激すると、ある程度の時間経過後に遅発性の鈍痛が起こってきます。
これが筋膜をも大きく傷つけられる急激な損傷であった場合には瞬時に痛みを感じます。
また、慢性痛に関わるのもC神経線維です。C神経線維はポリモーダル侵害受容器と呼ばれるセンサーを持ち、色々な化学物質に反応しやすい特性があります。
私たちの体には幾種類もの発痛物質が存在します。例を挙げると、ブラジキニン、プロスタグランジン、ヒスタミン、セロトニン、P物質、カリウム、代表的な物でもこれくらいはあります。
C神経線維は、筋肉の血液循環が滞った虚血状態では反応が高まり、痛みを感じやすくなる特性があります。これが先ほど触れた、【消炎鎮痛剤や湿布薬類と血流障害】とも関係し、【血流障害と一酸化窒素】にも関係してきます。
筋肉が疲労により硬くなる→患部の血流低下→一酸化窒素生成→C神経線維の反応が高まり痛みが起こる→湿布薬を貼る→患部の血流低下→一酸化窒素生成→C神経線維の反応が高まり痛みが起こる→湿布薬を貼る→患部の血流低下………………と、このような図式です。
湿布薬を貼り続けた筋肉は血流低下で硬くなります。硬くなった筋肉は柔軟性がなくなるので、柔軟性がある筋肉よりも日常動作の中でミクロレベルでの微細な損傷が起き易くなります。当然鈍い痛みが起きます。
そしてまた湿布薬を貼る→筋肉が硬くなる→微細な損傷で痛み→湿布薬を貼る…………こんな悪循環も起きます。
なぜ自律神経と痛みが関連するのか?
交感神経は神経末端からアドレナリン、ノルアドレナリンという物質を分泌します。この2つの物質は脈拍や血圧の調節に関与する物質です。しかし、前項で登場したAδ(エーデルタ)神経線維やC神経線維の表面が傷つくと、アドレナリンやノルアドレナリンに反応し痛みを起こすようになります。
筋肉は運動神経、感覚神経の他、交感神経の支配も受けています。
筋肉疲労を放置し、痛みへの対処として湿布薬を継続して長期間使用し続けると、筋肉の血液循環が抑制され、筋肉は硬い状態のまま元の柔軟性を失います。硬くなった筋肉に圧迫や摩擦を持続的に受けた感覚神経であるAδ(エーデルタ)神経線維は、脱髄といって神経表面の被膜が損傷します。
その結果、むき出しになった神経線維はアドレナリンやノルアドレナリンに反応してしまい、持続的に痛みを起こすようになります。
そもそも自律神経は気温や気圧などの環境変化や、感情の変化に体の内部環境を適応させる働きを持ちます。
つまり、交感神経の痛みを合併すると、気温、気圧、天候の変化や、感情の変化が起こると痛みを発症するようになってしまいます。
長々と説明しましたが、慢性痛の多くを占める侵害受容性慢性疼痛で湿布薬や消炎鎮痛剤で使い続けることは百害あって一利なしです。
侵害受容性慢性疼痛に必要な事は虚血状態の改善であり、疼痛発症前の柔軟性を備えた体を再獲得することです。
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急性外傷による痛みでしたら多くの人は悩んだり、不安な気持ちが継続することは少ないものです。今現在の痛みが辛くても、怪我が治ることで痛みが癒えていく事が経験的に分かっているからです。
人は過去の経験の蓄積や情報を得ることで痛みに支配されず、痛みを自分の支配下でコントロールする事も出来ます。
外科手術後には痛みは付き物ですが、手術が行われる前に予め手術後の疼痛に関する情報を伝えられた人と、そうでない人では手術後の痛みの程度に大きな差が生まれます。
外科手術を受ける状態は日常のありふれた出来事ではありません。生涯にわたり一度も手術を受けないまま一生を終える人も少なくありません。多くの人にとっては不安と恐怖が訪れます。
しかし、医師から手術前に…
「手術の後、この部分とこの部分に痛みが起きます。その痛みは1週間ほどで治まります。こうゆう姿勢をとると痛みが軽減します。心配しなくても大丈夫ですよ。」
などの説明を受けた方は恐怖と不安感から解放され、説明を受けない人に比べ手術後の痛みが著しく軽減します。
つまり、痛みそのものを無くす事ができなくても、痛みの原因や理由が解かると、不安や恐怖に支配されず痛みを自らでコントロールする事も出来ます。
慢性的な原因がよく分からない痛みや、原因が分かっていてもなかなか治らない状態にあると、先々に対する不安が大きくなると思います。
軽減させることが困難な痛みに悩まされている方には【痛み日記】を付ける事をお勧めします。
- どの薬がよく効いたのか?
- 鎮痛の持続時間はどの程度であったのか?
- 天候の変化や気温の変化での痛みの変化は?
- 入浴で温めたときはどうであったか?
- 睡眠時間と痛みの関係はどうか?
- 歩いた距離はどうであったか?
- どんな行動をしたか?
- 食べ物は何を食べたのか?
- 気持ちはどうであるのか?
等々、あげていくといくつでもあげられますが、自分の周りの環境の変化、自分自身の行動の様子、心の様子など日常のありようを出来るだけ詳細に記録してみてください。
そして、その時点での痛みを数値化して記録します。過去から現在に至るまでに自分自身が経験した最大級の痛みを10、痛みのない状態を0として現在の痛みがどの程度の数値になるのか記録します。
1か月~3か月ほど詳細に継続的な記録をつけていると、どのような時に痛みが起こり、どのような時に痛みが起こりにくいかという事が浮かび上がってくるものです。
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※特別な事情がある場合の時間外の受付は御相談ください。
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費用について
◎初見料 2000円
◎施術費 6000円
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- 追加の費用は一切必要ありません。
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