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鍼灸いちご治療院  鍼灸師・八幡太郎 執筆監修

鍼灸いちご治療院 TEL.03-5876-8989

〒133-0051 東京都江戸川区北小岩6-35-19


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  • 線維筋痛症の症状を軽減するには
線維筋痛症のつらさを軽減するには

線維筋痛症 【鍼灸師が執筆・監修】

線維筋痛症の症状、原因、治療について説明しています。

あなたに疲労倦怠感があり全身にわたる広範囲な筋肉の痛みが3か月以上継続している症状がみられたら、この疾患の可能性があるかもしれません。

私のホームページの情報が、あなたにとって有益な情報となれば幸いです。
鍼灸いちご治療院 院長・鍼灸師 八幡太郎このサイトは鍼灸いちご治療院が運営しています。

記事については医療系国家資格である鍼灸師の八幡太郎が執筆・編集・監修しています。

長期に続く痛みと多彩な随伴症状

線維筋痛症では以下のような症状がみられます。

共通症状・随伴症状


  • 3か月以上続く全身の筋肉の痛み(100%)
  • 倦怠感・疲労感が継続している(98%)

以上のような症状が共通してみられ、以下のような多彩な随伴症状がみられる事があります。

頭痛(61%)・睡眠障害(66%)・抑うつ、不安(66%)・しびれ(70%)・過敏性腸症候群(50%)、他レストレッグス症候群(ムズムズ足症候群)・手足の冷え・微熱・耳鳴り・動悸・女性では月経困難・生理不順、このような多彩な症状が随伴する事があります。


診断基準

この疾患では診断の基準として、下図18か所のポイントのうち11か所以上に圧痛点がみられる事となっています。

線維筋痛症診断基準18ポイント
@第5〜7頚椎間前方
A第2肋骨・肋軟骨付着部
B外側上顆2cm遠位
C膝上内側脂肪堆積部
D後頭下筋腱付着部
E僧帽筋上縁中央部
F棘上筋肩甲骨棘部
G臀部4半外側上部
H大転子突起後部




【診断基準】

  • 上記の18か所のポイントを約4キロの圧力で指で押し、11か所以上に圧痛がみられる事。
  • 広範囲の疼痛が3か月以上継続している。

※広範囲の疼痛とは、身体の左側の疼痛、身体の右側の疼痛、腰から上の疼痛、腰から下の疼痛、体幹中心部の疼痛、頚椎・前胸部・胸椎・腰椎いずれかの疼痛。これらがすべて存在する状態を広範囲の疼痛としています。



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原因 / 私の視点・私見


線維筋痛症は女性の発症が男性の5〜7倍といわれ、50歳代をピークに10〜80代までに幅広く分布しています。

血液検査、X線やMRI画像検査など現代医学的な検査では全く異常を発見することが出来ません。
原因不明とされています。

治療は抗てんかん薬、消炎鎮痛剤、抗不安薬、睡眠導入剤、ステロイドなどが症状にあわせ処方されます。

ここまでは、現代医学での診断基準・治療法になります。


原因 / 私の視点

原因不明とはいえ、18か所のポイントを診断基準としているのがそもそも曖昧だと考えています。

診断基準となっている18か所のポイントは我々鍼灸師が日常的に用いるツボに相当します。
これらの18か所のポイントは程度の差こそあれ、この疾患の人でなくても圧痛が起きやすい部位です。

近年の医師は血液検査や画像検査に重きを置き、患者さんの体を触診するという事が殆どなくなりました。そのため、18か所のポイントは線維筋痛症の患者さんでなくとも圧痛が現れる事が珍しいことではない、という認識を医学会は持っていないのではないかと考えられます。


なぜ診断基準18ポイントに圧痛が起こるのか?

東洋医学的視点で考える原因


線維筋痛症診断基準18ポイント
ここで改めて18ポイントを振り返ります。

D、E、F、Gのポイントは社会生活のストレスで多くの人にコリや圧痛を生じる部位です。

@のポイントは精神的緊張から首の筋肉が硬くなる頚腕症候群でも著明に圧痛が生じます。



Aのポイントは、東洋医学上の診断で梅核気(ばいかっけ)という症状が現れた時に圧痛点が現れるポイントです。

梅核気とは高ストレス状態にあると現れることがある症状で、喉の異物感や詰まった感じを指します。

Bのポイントは、鍼灸治療における概念に【経絡・けいらく】というルートがありますが、陽明大腸経という経絡上に存在するツボが密集するポイントです。大腸に負担がかかっていると圧痛などの反応が現れるポイントです。


C、Hについては経絡の概念でも説明はつきますが、この2点については『生体力学上の運動連鎖による姿勢の変化で圧痛を示すようになった。』と考えるほうが妥当であると思います。

生体力学の運動連鎖で考える原因


骨盤の動きの模式図
はつらつとしている時に人は、胸を開き、背中が伸び、腰は前に湾曲するので骨盤が前に傾きます。ここで骨盤と太ももの骨の関係が重要になります。

骨盤が前方に傾いている時、太ももの骨は外側に回旋します。つまりガニ股方向です。

このときAの筋肉(梨状筋)とBの筋肉(縫工筋)は短縮しています。これらの筋肉は太ももを外へ回旋させる筋肉です。




ご自身で確認されると理解しやすいのですが、背中を丸めると骨盤は後ろに傾き、起き上がります。骨盤が後ろ方向へ起き上がると太ももの骨は自然に内側に回旋します。つまり内また気味になります。膝近くのポイントCに違和感が生じるのが確認できるはずです。

骨盤の傾きと太ももの骨の回旋は運動連鎖するのです。

これを精神状態と姿勢の関係に当てはめると、元気な時は胸を張り、骨盤は前方に傾いています。梨状筋(りじょうきん)と縫工筋(ほうこうきん)は短縮状態にあります。

それが元気がなくなり背中が丸まると、骨盤は起き上がり太ももの骨は内側に内旋します。このとき短縮状態にあった梨状筋と縫工筋には引き伸ばされる力が働きます。

短縮状態にある筋肉が引っ張られると、筋肉から腱に移行する部分に過剰な負担がかかり痛みを発するようになります。

この一連の流れで、C膝の上内側と、H太ももの付け根後面に圧痛が出現していると私は考えています。


ここまで@〜H×2=18ポイントが圧痛を生じる理由を私なりに推測したわけですが、『診断基準18ポイントは線維筋痛症に特異的に表れるわけではない。』という事です。

これらのポイントは心理的に高負荷・高ストレス状態にある時にも同じように圧痛が生じるポイントです。

また、鬱病で精神症状よりも身体的症状が前面に出る仮面鬱病という状態がありますが、仮面鬱病でも診断基準のポイントに圧痛を生じます。



身体的原因の背景

線維筋痛症は多彩な随伴症状が自律神経失調症の症状と重なるため、誤って診断される事もあるのだと言われます。

しかし、それらの随伴症状はやはり自律神経失調状態が基礎にあり発症しているのだと私は考えています。

自律神経失調症など体が不定愁訴状態にあると、筋肉は硬くなりコリを生じます。硬くなった筋肉が痛みを発するのは鍼灸師の誰もが知るところです。

心の模型を持っている女性
この疾患は、患者さんその人にとって過大なストレス・心理的負担がのしかかり、自律神経失調症を発症すると同時に全身に筋硬結を生じた結果であると私は考えています。


ストレスに対する耐性は個人差があります。また、同じ人であっても心理的・社会的・経済的条件の変化などで、今まで何でもなかった事が無意識下でストレスに感じるように変化する事もあります。

特に50歳前後の女性は、更年期によるホルモンバランスの変化で体調が大きく切り替わる時期です。線維筋痛症がこの年代の女性に多く発症する事実は、ホルモンバランスの変化が大きく関わっていると考えられます。


私は線維筋痛症の治療には、身体面へのアプローチと精神面へのアプローチを統合したアプローチが必要であろうと考えています。

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鍼治療でのアプローチ


私の鍼治療での線維筋痛症へのアプローチは心理面へのアプローチと身体面へのアプローチの2層になります。

通常、私の運動器疾患へのアプローチ法はしっかり効かせることを軸としますが、線維筋痛症治療では弱めの治療が必要だと考えています。


身体的アプローチ

まず身体面へのアプローチです。心理的問題や自律神経の不調和がある場合、頸部・第2腰椎・仙骨が重要な治療ポイントになります。

首の痛みの鍼治療腰椎2番、仙骨に鍼治療

頸部を緩めることで首にある星状神経節という自律神経のポイントにかかっている過剰な刺激を解放します。精神面に問題を抱えている人は十中八九首に問題を発症しています。

そして第2腰椎と仙骨です。第2腰椎は交感神経の最尾側で、自律神経と深い関わりを持つ治療ポイントです。仙骨部は頭蓋仙骨療法でも脳脊髄液・自律神経治療にアプローチされる重要なポイントです。

線維筋痛症の鍼治療線維筋痛症の鍼治療ー2

そして、日を改め心理面へのアプローチです。こちらは手・足・頭部など末端のツボを使います。このとき同時にカウンセリングも行い、その人の全てを受容し心の解放を促します。



心理的アプローチ

心を見つめている人
身体的アプローチとは、日を改め心理面へのアプローチします。こちらは手・足・頭部など末端のツボを使います。

このとき同時にカウンセリングも行い、その人の全てを受容し心の解放を促します。


この、鍼で刺激を加えながらカウンセリングを行うのがポイントです。

身体に対する刺激を加える事と同時に脳の情動面を働かせることで、心理的不安感を生じている出来事や、抑うつ状態を引き起こすきっかけになっている出来事を引き出し、鍼刺激とのリンクで記憶の書き換えを図ろうというアプローチです。

あなたの心に伝えたいこと


人間は過去にも未来にも生きることはできません。現在にしか生きることができないのです。

未来とは想像の現在です。過去とは記憶の現在です。過去は過ぎ去った事実ではなく、現実に起きた事実を元にその人が描き出した記憶による風景画と考えて良いと思います。

自分自身が【過去である】と思いたいことを過去と思っているにすぎないのです。

つまり、視点の問題なのです。過去のトラウマなどの問題を新たな視点で見つめなおせば過去自体が変わるという事です。

過去自体が変われば現在の自分の心も変わり、未来への不安も変わります。

ゆるぎない過去と思っていることも、実は現在の自分が色をつけているにすぎません。

記憶は元々は色のついていない情報です。その記憶を呼び起こす自分が感情の色を付けてしまっているのです。

心理的な不安感や抑うつは過去に現在が支配されているのです。

過去の色付けに対し、鍼刺激と同時に情動にアプローチすることで、記憶の色付けを塗り替える事を促します。




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