骨盤の奥の腰痛 / 仙骨前面の痛み 【鍼灸師監修】
腰痛の中には骨盤の奥深くに腰痛が起こる、稀にみる特殊なタイプの腰痛が存在します。
このタイプの腰痛は画像検査でも原因が発見が出来ず、患者さん自身でも『どこが痛いのかはっきりわからない。』という症状の表し方になります。
この特殊なタイプの腰痛は、患者さん自身は骨盤の表面からマッサージなどを受けても『 部位自体は間違っていないような気がするんだけど、全く効いている気がしない。もっと深いところに問題があるような気がする。』
と感じ、多くの場合にいくつもの治療院巡りを繰り返します。
あなたの腰痛が病院の画像検査でも問題を発見できず、骨盤内臓器にも問題を発見できないようでしたら、このページで解説する特殊なタイプの腰痛かもしれません。
このページでは仙骨前面に問題が存在することで起こってくる、骨盤奥の痛みの原因や治療について解説します。

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記事については医療系国家資格である鍼灸師の八幡太郎が執筆・編集・監修しています。
このタイプの腰痛では、以下のような症状の現れ方となります。
症状の現れ方
- 骨盤の後ろが痛むが、漠然としてはっきりしない。
- 表面からマッサージや鍼治療を受けても、効いている感じがしない。
- 痛みの質は鈍痛である。
- 痛む部位を指さすことが出来ない。
- 骨盤の奥がムズムズして気持ち悪い感じがする。
仙腸関節性腰痛との違い
骨盤の後ろに存在する仙腸関節で機能不全が起きると、左のような部位に特徴的な痛みが現れます。
痛みの性質は刺されるような鋭い痛みです。
これは仙腸関節に存在する侵害受容器というセンサーによるものです。痛みの部位を問われた時、患者さん自身で何度でも同じ部位をピンポイントで指し示すことが出来る特徴があります。
仙腸関節の機能不全による腰の痛みについては、【仙腸関節性腰痛】のページで詳しく解説しています。
骨盤の奥の腰痛 / 仙骨前面の痛みの症状出現部位
一方、このページで問題としている骨盤の奥深くの痛みではどのような部位に症状が現れるのか。
症状出現部位は図のような部位となりますが、症状が現れる部位が漠然としています。
部位が漠然としているだけではなく、痛みの質は鈍痛であり、この点が仙腸関節性腰痛とは明確に違います。また、患者さん自身に痛む部位を訪ねても『どこが痛むのかはっきりわからない。』という回答が返ってきます。
骨盤の奥深くが痛み、痛みの部位がはっきりわからないのは仙骨の前面に問題があるためです。次の項目でその原因について解説します。
骨盤の奥に腰痛が起きた場合、仙骨の前面と梨状筋に問題が潜んでいることがあります。
仙骨と梨状筋の問題

骨盤の後ろには仙骨と呼ばれる骨が存在します。この仙骨の前面に付着している筋肉が梨状筋と呼ばれる筋肉で、主に太腿を外旋させる働きを持っています。梨状筋は坐骨神経痛の原因にもなる梨状筋症候群という症状を起こす筋肉でもあります。
このページで問題としている骨盤奥深くの痛みは、梨状筋症候群の変則バージョンと言っても良いかもしれません。
梨状筋が仙骨に付着している部位に、長期間に渡り継続的な負荷が掛ったり、この部位に癒着などの問題が存在する場合、骨盤の奥深くに捉えどころのない鈍痛が起きることがあります。
梨状筋が機能不全を起こした場合には、坐骨神経との摩擦で症状が起こる【梨状筋症候群】と、仙骨前面の付着部に問題が起こる場合の2つに大別されます。
梨状筋の問題は多くの場合、梨状筋症候群となって現れますが、稀に付着部に症状が現れ、骨盤の奥深くに捉えどころのない鈍痛が継続することがあります。
この腰痛は問題となっているのがが仙骨の前面という部位であるため、治療では特殊な方法が必要になります。
特殊なアプローチ法

骨盤の奥深くの腰痛は梨状筋症候群の変則版と言っても良いのですが、一般的な梨状筋に対するアプローチ法では効果が薄く、仙骨の前面に鍼先を届かせる事が必要になります。私はこの特殊な腰痛に対し仙骨前面刺鍼という方法をとっています。

具体的には骨盤の外側、太腿骨の付け根である大転子と呼ばれる部位近くから鍼を刺入します。梨状筋の筋肉本体を貫きつつ仙骨前面に鍼先を到達させます。
特殊な刺鍼法であるため、鍼は5寸(150mm)と呼ばれる長鍼が必要となります。

鍼の刺入方向を別の角度から見てみましょう。
150mmという長鍼が必要になるのは、このような特殊な部位であるためです。
実際の治療中の様子

ボールペンの上の2本が長さ5寸(150mm)×太さ1mmの鍼です。
5寸の上の鍼が3寸(90mm)、その上が1寸6分(50mm)の鍼になります。5寸の鍼がどれほどの物であるかご理解頂けたかと思います。
1mmもの太さが必要なのは、長い鍼で刺入する場合、細い鍼では筋肉などの組織の硬さに負けてしまい、鍼がたわんでしまい鍼先が目的の部位から外れてしまうためです。
1mmの太さの鍼でしたら組織の硬さに負けないため、目的の部位に確実に鍼先を到達させることが出来ます。
5寸(150mm)という鍼は一般的な鍼灸院ではまず使用することはなく、特殊過ぎるためメーカーに特別注文した鍼です。1mmの太さがあり、平均的な縫い針よりも太い鍼です。

臀部の最も外側の見えるのが5寸(150mm)×1mmの鍼になります。この方の場合、梨状筋の問題の他、腰のウエストラインの深部にも問題があるため、梨状筋の他、腰部にも3寸(90mm)の鍼を60本ほど使用しています。
患者さん治療例と改善状況

佐々木 孝之さん (54歳)
茨城県笠間市
佐々木さんは3年ほど前から、腰と股関節周囲の局在不明瞭な痛みに悩まされていました。
佐々木さんの症状は『農作業の後などの一日の終わりに、腰と股関節のかなり深い部分に対応に困るような鈍痛が毎日起こる。』というものでした。
腰や股関節周辺の深部に痛みを抱え、整形外科、マッサージ、鍼治療など様々な治療を受けてこられています。しかし…
『どんな治療を受けても問題部位に効いている感じがしなかった。』とのことでした。
このページで取り上げた骨盤の奥深くの痛みは、マッサージや電気治療器では全く効果を及ぼすことが出来ない部位です。
また、この患者さんはエコーガイド下での生理食塩水注入による筋膜リリースも毎週1回、1年間に渡り受けてこられていますが、その手法によっても症状は改善しなかったそうです。
これらの様々な治療法で改善がみられなかったのは、骨盤の奥深く仙骨の前面という部位に原因がある特殊な腰痛であったためです。長さ5寸(150mm)×1mmの鍼で仙骨の前面にアプローチすることで、初めて根本的な問題部位にアプローチが可能となりました。
そして、患者さんからは…
『そこですっ!今までいろんな治療を受けてきましたが、初めて問題の部位に届いた感覚があります。そこですっ!そこに欲しかったんです。』という言葉を頂きました。
以下は佐々木さんから頂戴した手記です。症状は3か月ほどで大きく改善し、現在は月に1回ほどの定期的なメンテナンスで、良好な状態を維持できるようになっています。
症状が大きく改善したことで、念願だったホノルル・マラソンへの出場へ向け取り組まれています。
骨盤の奥の腰痛 / 仙骨前面の痛み / まとめ
腰の深い部分に局在不明瞭な痛みがある場合には、骨盤内臓器に問題があり、その反射痛である可能性があります。腰周辺に問題が発見できない場合。直腸やS字結腸、子宮、膣、卵巣などの骨盤臓器に問題が存在していることがあります。
しかし、あなたの腰の深い部分の痛みが、整形外科、消化器科、婦人科といった診療科目すべてを受診し、またMRI,CTといった画像診断装置でも原因が見つからなかった場合、仙骨前面に問題があるのかもしれません。
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※ただし、その方ご自身が特殊な鍼での施術を希望する場合のみ、特殊鍼の実費をご負担ください。こちらから無理にお勧めすることは一切ありませんのでご安心ください。
※施術中の写真で特殊鍼を使っているものもありますが、原則的にはそれらの特殊鍼を使わず、追加の費用が発生しない形での対応としています。
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